...ことに夜網(よあみ)の船の舷(ふなばた)に倚(よ)って、音もなく流れる、黒い川をみつめながら、夜と水との中に漂う「死」の呼吸を感じた時、いかに自分は、たよりのないさびしさに迫られたことであろう...
芥川龍之介 「大川の水」
...安らかに眠つてゐる母の寢顏を見れば涙が流れるといふのがあつた...
石川啄木 「歌のいろ/\」
...平常は青白い顏が薄赤くなつて汗が流れる...
高濱虚子 「俳諧師」
...私の病室の窓の下を流れる水におくられて...
竹久夢二 「先生の顔」
...月日は流れる水の如く...
太宰治 「津輕地方とチエホフ」
...水が一すぢに流れるやうに...
種田山頭火 「行乞記」
...水のやうに流れるものは常に新らしい...
種田山頭火 「其中日記」
...淙々として流れる溪流の水音と...
寺田寅彦 「伊香保」
...家も流れる、大木も流れる、材木や家財道具までも濁流の中に漂うて流れて行くうちに、夜が明けました...
中里介山 「大菩薩峠」
...弥高(いやたか)から姉川(あねがわ)の方へ流れる尾根を後ろにして宏大な屋敷あと...
中里介山 「大菩薩峠」
...飛ぶといふよりは流れるのである...
長塚節 「濱の冬」
...食卓でおしゃべりの広がる様子は周りを流れる小川のさざ波かと思うほど...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「道化玉座」
...ただ時間が自然と流れるのを見詰めるより他仕方がないのを感じ出した瞬間である...
松永延造 「アリア人の孤独」
...涙が胸の内側に流れるようで...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...手を打つとその声に応じて流れるという意味でありました...
柳田國男 「日本の伝説」
...とろりと溶け流れるような濡羽色の壺肌の前で...
横光利一 「旅愁」
...乳から出てくるバターやチーズ……「乳と蜜の流れる地」という言葉は...
笠信太郎 「乳と蜜の流れる地」
...ちよろ/\と流れる水を控へて二軒の湯宿があつた...
若山牧水 「樹木とその葉」
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