...心を留めて聞くと私(ひそか)な人語が其方向から洩れて來た...
高濱虚子 「續俳諧師」
...悲痛な声を洩(も)らしたが...
谷崎潤一郎 「細雪」
...そこから空の曙光が洩れて下層の雨の柱でも照らしたのではないかという想像もされなくはないが...
寺田寅彦 「颱風雑俎」
...眼の下に細い皺を寄せて苦々しい微笑を洩らした...
豊島与志雄 「田原氏の犯罪」
...残党一人も洩らすまじと...
中里介山 「大菩薩峠」
...月のようなうす黄色い光をかすかに洩らしていた...
中島敦 「虎狩」
...ふとその席から六樹園六樹園と自分の名が洩れて来るのを聞いて縁の障子のかげに足をとめた...
林不忘 「仇討たれ戯作」
...遺言ようの秘密を洩らしぬ...
宮崎湖処子 「空屋」
...ちょうど節穴から一筋の日光がさしこむようにチラリと洩らされる正義の情...
宮本百合子 「現代の主題」
...その顔と着くずれた着物から洩れている襟元が白く浮きあがっている...
三好十郎 「廃墟(一幕)」
...近き親戚の尠(すくな)き旨を洩らせるが...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...ひとりごとを洩らしていた...
吉川英治 「大岡越前」
...ここまでの真意を洩らした高氏の紅い耳朶(じだ)やその語気の方だった...
吉川英治 「私本太平記」
...それがしまでが洩れ伺っておる...
吉川英治 「新書太閤記」
...やがてようやく洩らしたことばは...
吉川英治 「新書太閤記」
...すき洩る現代の空気も音響も一切遮断しているのだ...
吉川英治 「随筆 新平家」
...或る方面から洩れ聞いていた...
吉川英治 「宮本武蔵」
...見洩さずにゐられるであらう...
和辻哲郎 「月夜の東大寺南大門」
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