...絶えず嗟嘆(さたん)の意が洩らしてある...
芥川龍之介 「奇遇」
...大川(おほかは)でも魚(さかな)の釣れたことに多少の驚嘆を洩(も)らしてゐた...
芥川龍之介 「本所両国」
...樹立ちを洩れて陽光が惜し気もなく画室のなかへ流れこむ...
上村松園 「画室談義」
...軒燈(けんとう)のあかりがぼんやり店の奥へ洩(も)れて来て...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のおんな」
...梢からちらちらと洩れる星影を頼りにほの暗い中を歩いていると...
豊島与志雄 「恩人」
...兄様とか妹とかという泣声が洩れたのだそうでありますが...
豊島与志雄 「三つの嘘」
...琴の音は洩れている時があった...
豊島与志雄 「掠奪せられたる男」
...時々会心(かいしん)の笑(えみ)を洩(も)らす丹後守の面(かお)には聖人のような貴(とうと)さを見ることもあります...
中里介山 「大菩薩峠」
...全管轄区及び近接五県に水も洩らさぬ捜査陣を敷く...
久生十蘭 「魔都」
...その輪の中心に不覚にも洩らしてしまった柏原富次が...
本庄陸男 「白い壁」
...一態何処へ行くの?」ワザとごまかすやうな口吻を洩しながら...
牧野信一 「愚かな朝の話」
...震災ちかくまでも稀にしか燈火の洩れない随分佗びしい場末のやうな屋並で彼処から堀田原を抜け...
正岡容 「異版 浅草燈籠」
...早くも世間に洩れているのかと...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...河鹿の聲が洩れる家もあつた...
吉川英治 「折々の記」
...水も洩(も)らさぬ用意の下(もと)に...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...小舟の内からあたりの闇へ洩れて行った...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...四戸の隙間から明りが洩れている...
吉川英治 「宮本武蔵」
...折から雲間を洩れた月光を湖面一杯に浴びて二艘の端艇(ボート)は矢の様に水上を辷(すべ)る...
モウリス・ルブラン 新青年編輯局訳 「水晶の栓」
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