...泰然として一心を不動の地に置き...
井上円了 「おばけの正体」
...五十四万石の大守細川侯ばかりは泰然としてゐた...
薄田泣菫 「茶話」
...割合いに泰然としている...
太宰治 「パンドラの匣」
...潮流は、四方から、急流をなして、あの大渦巻に、吸寄せられているさまは、見事なものですな……」人々の驚愕(きょうがく)、悲鳴をよそに、二人の科学者は、泰然として、世にも不思議な海洋中の大渦巻に見惚(みと)れている...
寺島柾史 「怪奇人造島」
...彼は泰然としてやって来ました...
豊島与志雄 「食慾」
...自分の道楽からわが銅像をわが家の庭に立てる位の事なら差支えないがその男の遣方(やりかた)はそれとなく生徒の父兄を説いて金を出させ地方の新聞記者を籠絡(ろうらく)して輿論(よろん)を作り自分は泰然としているように見せ掛けるのだから困ります...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...」と泰然として瞬き一ツせず却て僕の顔を見返した...
永井荷風 「申訳」
...三ツ山は泰然としてもとのごとく...
永井隆 「長崎の鐘」
...桶狭間(おけはざま)で泰然としていた信長...
中里介山 「大菩薩峠」
...泰然として坐りこんでみたものの...
中里介山 「大菩薩峠」
...ここに立ってさえいれば大丈夫」と腹の減った男は泰然として動(どう)ずる景色(けしき)もない...
夏目漱石 「趣味の遺伝」
...相手は例のごとく泰然としてただいいえと云ったのみである...
夏目漱石 「野分」
...長くなって泥の中に埋(うま)ってるさ」「君は始終泰然として気楽なようだが...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...ただ独仙君のみは泰然として...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...馬場要は一人泰然として杯を挙げているのでした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「野良犬が格子戸にさわったんですよ」八五郎は泰然として未練がましく徳利をすすっております...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「いや、これから始められては叶(かな)はない、――さう言つては濟まないが、この曲者は何年調べたところで、――地獄の底まで搜し拔いても、捉(つか)まる當てはあるまいと思ふがな、親分」主水は煙草の煙を輪に吹きながら、泰然として、こんなことを言ふのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...一端盃を手にしたとなると恰で風格が変つてしまつたかの如く泰然として...
牧野信一 「沼辺より」
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