...顏一體を波立つ程苛々(いら/\)させ乍ら...
石川啄木 「病院の窓」
...海戦科学研究所大師、楊(ヤン)博士は、いま臨海練魚場の巌頭に立って、波立つ水面を、じっと見つめているのだった...
海野十三 「軍用鮫」
...“――本日十六時、本監視哨船の前方一哩(マイル)のところに於て、海面に波立つや、突然海面下より大型潜水艦とおぼしき艦艇現われ艦首を波上より高く空に向けたと見たる刹那(せつな)、該艦の両舷(りょうげん)より、するすると金色の翼が伸び、瞬時にして爆音を発すると共に、空中に舞上りたり...
海野十三 「二、〇〇〇年戦争」
...警察ランチ、お手伝いのモーターボート、都合四艘の快速船が、吹きつのる北風に、波立つ海を、真ッ二つに切り裂いて、四つの鋭いのこぎりの様に、勇ましく突き進んで行った...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...そしてニノチユカの小さい胸は波立つた...
オイゲン・チリコフ Evgenii Nikolaevich Chirikov 森林太郎訳 「板ばさみ」
......
峠三吉 「原爆詩集」
...本當ですね?」と波立つ喜悦の情を包もうともせずに...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...波のやうにうねうねと波立つてゐる...
林芙美子 「濡れた葦」
...広く波立つ入江で...
久生十蘭 「三界万霊塔」
...ほととぎす東雲時(しののめどき)の乱声(らんじやう)に湖水は白き波立つらしもこれも赤城山頂の大沼などを想像しての作であらう...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...高々と山の続くはめでたけれ海さばかりに波立つべしや丹後与謝の大江山辺の景色...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...青黒い無気味な色に波立つてゐた...
北條民雄 「青年」
...真黒な絶望と限りない悲哀が波立つてゐることを...
北條民雄 「発病」
...散らされた嵐を呼ぼうとするそして全線の中で波立つ水平をめぐる気負った清新さと共に労働の鼓動をうたう青年舵手を見たそれは没落の腐り水を洗う新ネフスキー街の掃除夫牢獄の暗鬱を吹き払うさわやかな秋の青嵐―――わたしらはこの日本一のみず/″\しさをもつ詩人に...
槇村浩 「人民詩人への戯詩」
...それから東には敏感な空の白髪が波立つ...
宮沢賢治 「山地の稜」
...足に踏む砂をさえ美しく波立つようにさせる...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...風に波立つリパルスベイ一面の黄色な花――香港島を自動車にて一周後...
横光利一 「欧洲紀行」
...解き放されたような気怠い疲労の眼で女神の顔を見ているうち沈み加減なその横顔の美しさに彼は胸が不思議に波立つのを感じた...
横光利一 「旅愁」
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