...おのがじし飾り繕ひたる人の波打つ如く行くあり...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...若い女の健康な腹に波打つ笑ひの波は...
石川啄木 「郁雨に與ふ」
...お蔦は恥じてか、見て欲(ほし)かったか、肩を捻(ひね)って、髷(まげ)を真向きに、毛筋も透通るような頸(うなじ)を向けて、なだらかに掛けた小掻巻(こがいまき)の膝の辺(あたり)に、一波打つと、力を入れたらしく寝返りした...
泉鏡花 「婦系図」
...その海の水は根を波打つてゐるのだ...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...いつ頃から疊替をせぬのか波打つたやうになつて居る上に處々破れたのが反古で張つてあつた...
高濱虚子 「續俳諧師」
...人類の歴史に永遠に波打つデモクラシーの力も...
中野秀人 「第四階級の文学」
...ドツと波打つ馬鹿騷ぎの間を經つて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...波打つやうに不安と恐怖を傳へて行くのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...肩で重たく波打つてゐる...
林芙美子 「浮雲」
...あの写真は掘立小屋の揺らぐテントの蔭の木のベツドで注射の円い肩が波打つてゐた...
原民喜 「火の子供」
...肩に波打つ栗色の房々(ふさ/\)とした髮であつた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...河豚の腹のやうに白いはだけた胸が深々と波打つてゐた...
牧野信一 「好色夢」
...きどった眼付、波打つような、うねるような歩き振り――ひどく外輪にした爪先を、まずそろりと地につけておいて、それから足の残りを落すのである――得意げな、せりふめいた言葉づかい、芝居じみて納まり返った態度、類もなくこれ見よがしに念入りなしぐさ――そういうもので彼は女性を夢中にさせた...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「なぐり合い」
...その下に波打つ幾線の鉄の縄が世界の隅隅(すみずみ)までを繋(つな)ぎ合せ...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...此処へ東の地平から黄金(こがね)の色に波打つは...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...希望そのものを波打つかに思われる...
吉川英治 「宮本武蔵」
...蔓に飾られた波打つ蘇鉄の森の中を流れ下ってきたことが示されていた...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
...悪ふざけのように群葉が波打つファンタスティックな様を見ることができた...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「時間からの影」
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