...その胸は優しく波打つてゐたが...
アーヴィング 高垣松雄訳 「クリスマス・イーヴ」
...お蔦は恥じてか、見て欲(ほし)かったか、肩を捻(ひね)って、髷(まげ)を真向きに、毛筋も透通るような頸(うなじ)を向けて、なだらかに掛けた小掻巻(こがいまき)の膝の辺(あたり)に、一波打つと、力を入れたらしく寝返りした...
泉鏡花 「婦系図」
...その海の水は根を波打つてゐるのだ...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...私の心は其海と其山とに向つて烈しく波打つた...
田山録弥 「春雨にぬれた旅」
...偉大で誠実な道徳的衝動が波打つていた...
G・K・チェスタートン G. K. Chesterton 村崎敏郎訳 「ブラウン神父の醜聞」
...破砕された岩砂の緩やかに波打つ峯頭へ身を投げ出す...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...北海などの峰々が緩く波打つ間の盆地にあって...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...それだけ女の生體を掴まうとする好奇心が波打つてくるわけだ...
南部修太郎 「S中尉の話」
...波打つ月光によって...
西尾正 「墓場」
...温かいふくよかな肉が波打つやうに顫(ふる)へて居ります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「…………」群衆がザワザワと波打つような美色...
野村胡堂 「礫心中」
...とぎれとぎれに声は波打つようだった...
原民喜 「美しき死の岸に」
...森々たる春の朝の感覚に鐘の声さへ加はつて気の遠くなるやうなリトムの波打つてゐる歌である...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...大きな呼吸で波打つてゐます...
牧野信一 「晩春の健康」
...涯(はて)しもない湿地の上に波打つ茫々(ぼうぼう)たる大草原の左手には...
夢野久作 「死後の恋」
...いつも苦しい魅力をもつて波打つてゐた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...すでに発足準備もすましている軍勢の波打つ闇に...
吉川英治 「私本太平記」
...悪ふざけのように群葉が波打つファンタスティックな様を見ることができた...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「時間からの影」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??