...この屋根の上に蘆(あし)が生えて、台所の煙出(けむだ)しが、水面へあらわれると、芥溜(ごみため)のごみが淀(よど)んで、泡立つ中へ、この黒髪が倒(さかさ)に、髻(たぶさ)から搦(から)まっていようも知れぬ...
泉鏡花 「悪獣篇」
...儀作は雪解の泡立つ流水を落している川瀬の音に頭脳をもみくちゃにされ...
犬田卯 「荒蕪地」
...流れはふつ/\と白く泡立つてゐる...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...水戸は水戸で火の消えた煙草をしきりに吸いつつ硝子戸越しに泡立つ海面へ空虚な目を停めていた...
海野十三 「地球発狂事件」
...轟きわたる海洋の泡立つ潮高まりて...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...泡立つヂヨツキの幾箇かと鮮新な料理の三皿ばかりで...
徳田秋聲 「老苦」
...釜がぶうつと泡立つてこぼれ出すと大急ぎに手桶の水を一杯注ぐ...
長塚節 「芋掘り」
...其異様な網で泡立つた浅い水をすくつて其水と共に走る...
長塚節 「隣室の客」
...なんだか父親の映像が気になりだすと一歩二歩歩みだすばかりです深夜の思ひこれは泡立つカルシウムの乾きゆく急速な――頑ぜない女の児の泣声だ...
中原中也 「山羊の歌」
...泡立つ光の小さな谷間...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...泡立つ海は暫らく油のような静寂に還って...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...泡立つビールを、ぐうつと一息に飲んで、富岡は初めて息をふきかへした...
林芙美子 「浮雲」
...一ダース位の小さな念想が泡立つてくる...
原民喜 「火の踵」
...黒い岩や泡立つ渦にみちた輝かしい溪流を見ることであつた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...大きい帯のやうに泡立つて来た...
エドガア・アルラン・ポオ Edgar Allan Poe 森林太郎訳 「うづしほ」
...5385泡立つ毒...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...泡立つ早い流れが日光に耀いていた...
横光利一 「旅愁」
...紺碧な海上いちめんに白浪が泡立つてゐて一層の偉觀を添へる...
若山牧水 「樹木とその葉」
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