...さながら恍惚とした法悦の輝きを...
芥川龍之介 「地獄變」
...況(いはん)やあの作品にさへ三歎の声を惜(おし)まなかつた鑑賞上の神秘主義者などは勿論無上の法悦(はふえつ)の為に即死を遂げたのに相違あるまい...
芥川龍之介 「続野人生計事」
...すべての生きとし生けるものの美に法悦するほど好いことはない...
レオニード・ニコラエヴィッチ・アンドレーエフ 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...その後は一体どこに虫喰い算に似た智能的法悦を求めようかと歎かれる選士も――多分少からずあることと思います...
佐野昌一 「虫喰い算大会」
...法悦を求めて精進してゐる間...
薄田泣菫 「恋妻であり敵であつた」
...自分ガカツテ夢ニダモ想像シタノナカッタ法悦境ニ浸リツツアルノヲ思ッテ...
谷崎潤一郎 「鍵」
...私は無何有境の法悦を味ふ...
種田山頭火 「其中日記」
...今死んでも悔む処もない程の法悦に酔つてゐます...
長與善郎 「青銅の基督」
...ドヴォルシャークの郷愁(ノスタルジア)に聴き入って涙するのはわれわれ音楽鑑賞者の最もよき法悦であり...
野村胡堂 「楽聖物語」
...全身の脈管(みゃくかん)に密を流すような法悦を感じて...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...法悦的な安らかさを湛(たゝ)へてゐるのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...身も心も溶け込むような法悦を感じました」「――――」それは無気味な声でした...
野村胡堂 「法悦クラブ」
...何時間も何時間も法悦に浸っていました...
久生十蘭 「淪落の皇女の覚書」
...彼は悔と光明と法悦を心から感じた為でもあらうか...
平出修 「夜烏」
...少し六ヶ敷い言葉を用ふとその静かな気持を「法悦」と人々は云つて居ります...
牧野信一 「嘆きの孔雀」
...君たちを味わいすすることができたら――君たち凡庸の法悦よ...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「餓えた人々(習作)」
...一日一日が、法悦の日だった...
吉川英治 「親鸞」
...僧徒は法悦をも真理をも捨てて...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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