...此理想を實現するの困苦を泌々と身に覺えるであらう...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...すっかり水が泌みこんで...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...石油を入れてみると底のハンダ付けの隙間から油が泌(し)み出して用をなさない...
寺田寅彦 「石油ランプ」
...怪しい蠱毒が全身に泌み渡るのを覚ゆる...
豊島与志雄 「都会の幽気」
...人の肺腑まで泌み通る...
豊島与志雄 「野に声なし」
...へんに十内の心に泌みた...
豊島与志雄 「広場のベンチ」
...泌透る樣にこゝろを刺貫くものをもつてゐた...
中井正一 「雪」
...みかんだけは知恵をしぼって裏の川で洗ってきてもいつのまにか着物などに泌みこんでいる芳烈なにおいであった...
中島哀浪 「かき・みかん・かに」
...その脾臓か何かの内分泌液を採って試験するというほど生理化学が進歩する日が来たら...
中谷宇吉郎 「痛みの効用」
...Asclepias Syriaca=一般の乳液を分泌する植物)が強力であり...
マクス・ノイバーガー Max Neuburger 水上茂樹訳 「医学の歴史」
...その癖骨にも泌みるような貧しい暮しを続けて居るのでした...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...泌(にじ)み出る自然の愛嬌も世の常ではありません...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...この距の中には蜜液が分泌せられている...
牧野富太郎 「植物記」
...フト軽い寒氣が身裡(みうち)に泌みた...
三島霜川 「昔の女」
...茲にても我等を迎ふる人のあり旅の暮れなり懐かしきかもひな乙女等のかざりし室の榛の香の強く泌みけり山里の暮疲れたる身に泌々と真白なる花の香の胸うちにけり胸うちし真白き花よ榛の名花よひな乙女なる香の放つなる知らぬ地の窓辺近くにオルガンをひけば心もすみ渡りけり遙々とわが家はなれし山里にふく山風のさみしかりけりかくして九時半「世之助伍長」の軍隊式号令にて就寝...
村山俊太郎 「平泉紀行」
...ついにこの高貴な手押車は泌尿科の医師の眼にはとうとう触れなかった...
室生犀星 「われはうたえども やぶれかぶれ」
...初めて身に泌みてわかったらしく...
夢野久作 「狂歌師赤猪口兵衛」
...いい芳香(におい)が臓腑(はらわた)のドン底まで泌(し)み渡りましたよ...
夢の久作(夢野久作) 「人間腸詰」
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