...既に身に沁む寒さを感じて心まで引きしまつた私には...
有島武郎 「秋」
...縹緻(きりょう)に打たれて身に沁む工合が...
泉鏡花 「唄立山心中一曲」
...椀が微かに耳の奥へ沁むようにジイと鳴っている...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...空気が冷え/\と身に沁むやうな日であるから...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...訳もなしに身に沁む...
寺田寅彦 「嵐」
...そうして井戸端から高らかに響いて来る身に沁むような蟋蟀(こおろぎ)の声を聞く想いがするのである...
寺田寅彦 「重兵衛さんの一家」
...五六人のそうした浪人のいる二階では、富士春が、爪弾(つめび)きでそぞろ、身に沁む、秋の風招く尾花につまされて千草を分けて入る山に夫(つま)恋う鹿の叫び鳴くと、唄っていた...
直木三十五 「南国太平記」
...眼に沁むような娘の死体を...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...青葉が眼に沁むやうな初夏の清々しい日です...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...そういう私の言葉をも反って身に沁むようにしていて...
堀辰雄 「ほととぎす」
...しかも、雪が降りしきっていて、寒さが骨に沁む...
水野葉舟 「香油」
...木の葉も凋落(ちょうらく)する寂寥(せきりょう)の秋が迫るにつれて癒(いや)しがたき傷手(いたで)に冷え冷えと風の沁むように何ともわからないながらも...
水上滝太郎 「山の手の子」
...眼に沁む涙の旗にちがひない...
吉川英治 「折々の記」
...夜気はひややかに骨に沁む...
吉川英治 「三国志」
...おなじ芭蕉の句――夏草やつはもの共が夢の跡――と共につよく心に沁む句である...
吉川英治 「随筆 新平家」
...骨身に沁むような恐怖を与えて...
吉川英治 「平の将門」
...その冷たさがなおさら沁む...
吉川英治 「宮本武蔵」
...と小禽(ことり)の声がふと耳に沁む...
吉川英治 「宮本武蔵」
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