...心地よい冷さが腹の底までも沁み渡つた...
石川啄木 「鳥影」
...秋風の快さはそれとなく沁みた...
石川啄木 「我等の一團と彼」
...――青苔(あおごけ)に沁(し)む風は...
泉鏡花 「貝の穴に河童の居る事」
...人間が大変小さい者だと書かれてあつたカトリック入門書の教へを身に沁(し)みて体験したのです...
犬養健 「亜剌比亜人エルアフイ」
...ひりひりと胸に沁みてくるものをはっきりと感じた...
梅崎春生 「黄色い日日」
...晴れた空が身に沁(し)み込むように感ぜられる好(い)い日和(ひより)であった...
夏目漱石 「こころ」
...沁々(しみじみ)とこう言うのでした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...梨の木坂を降りるまで血が沁み出さねえことはねえはず...
久生十蘭 「平賀源内捕物帳」
...そして私の裡(うち)に沁み込まされた教訓の全部を...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...……あゝ、妾、沁々悲観したわ、父さんがあんな商売をしてゐるもので、低級な人達ばかりが出入りするんですもの...
牧野信一 「小川の流れ」
...その癖内々では同人同志でも嘘のつき合ひをしてゐるやうなこの種の家庭に沁々と幻滅を感じた...
牧野信一 「毒気」
...自然主義期の感情の質との相異を沁々感じさせました...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...青春を失った者は酔い泣きといっしょに過去の追憶が多くなって取り乱すことになるだろうから」と源氏の言うのを姫君も身に沁(し)んで聞いた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...氷寒沁骨(こつにしんす)...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...二羽連れ立っていた睦まじさが眼に沁みていた...
矢田津世子 「茶粥の記」
...喪(も)の国へ帰り行(ゆ)く船と申す如き心地も此夜頃(このよごろ)に深く身に沁み候(さふら)ひしか...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...それが身に沁(し)みている...
吉川英治 「私本太平記」
...胸に沁透る何かがあった...
蘭郁二郎 「孤独」
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