...わが商人の小利小欲に汲々として大利を忘れ...
井上円了 「欧米各国 政教日記」
...有体に言うと今の文人の多くは各々蝸牛の殻を守るに汲々として互いに相褒め合ったり罵り合ったりして聊かの小問題を一大事として鎬を削ってる...
内田魯庵 「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」
...テオドラ嬢の父は事毎に外相からの内諭で娘の意を嚮(むか)えるに汲々として弱り抜いていたが...
内田魯庵 「四十年前」
...汲々として藩閥の維持に努めた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...あなたも鉱毒事件のような一局部の問題に汲々としている場合でない」と島田が忠告したのに対し...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...あれこれとかき集めるのに汲々としていると云ったような弱々しさである...
戸坂潤 「読書法」
...右顧左眄して順応に汲々としている或る種の文化論者の類いである...
戸坂潤 「日本文化の特殊性」
...機嫌を取るに汲々としていた...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...常識の日本人はいつも現實の利害に汲々としてゐるばかりで...
永井荷風 「新歸朝者日記」
...不正の利慾を貪るに汲々として寧日なき有様であった...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...そして小胆な彼は汲々として働いてゐるのだ...
牧野信一 「父の百ヶ日前後」
...それにしても何うしてそんな見得に秘かに汲々としてゐるのか? と悲しんだが...
牧野信一 「武者窓日記」
...大砲を造ることに汲々として砲弾の用意を忘れたものに等しい...
牧野富太郎 「植物記」
...同輩たちは彼の寵を獲(え)ることに汲々としていたし...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トニオ・クレエゲル」
...同時になる丈沢山食べられるだらうかと云ふ研究に汲々としてゐる...
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 森林太郎訳 「祭日」
...汲々として紅塵(こうぢん)埃裏(あいり)に没頭し...
山路愛山 「英雄論」
...その部下と共に良民を苦しめて不義の栄華を楽しむために汲々としておる者で...
夢野久作 「暗黒公使」
...守れ」の一方でただ要害をきびしくするに汲々としていたが...
吉川英治 「三国志」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??