...わが商人の小利小欲に汲々として大利を忘れ...
井上円了 「欧米各国 政教日記」
...テオドラ嬢の父は事毎に外相からの内諭で娘の意を嚮(むか)えるに汲々として弱り抜いていたが...
内田魯庵 「四十年前」
...その生涯の大部分を単に低級な必要物と安楽とを獲ることに汲々としているのならば...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...ひたすらニュースと末梢的センセーショナリズムとの追求に汲々としていることは誰しも認めていることだが...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...あれこれとかき集めるのに汲々としていると云ったような弱々しさである...
戸坂潤 「読書法」
...科学の駆逐に汲々としている...
戸坂潤 「ひと吾を公式主義者と呼ぶ」
...ただ出来るだけ多くの快楽を得ることのみに汲々としています...
トルストイ 米川正夫訳 「クロイツェル・ソナタ」
...常識の日本人はいつも現實の利害に汲々としてゐるばかりで...
永井荷風 「新歸朝者日記」
...田舎出の文士に限つて世評を気にかけ売名に汲々として新春年賀の端書(はがき)にもおのれが著書の目録なんぞを書きつらぬるが癖なり...
永井荷風 「桑中喜語」
...ただ専門の学に汲々としているばかりで...
新渡戸稲造 「教育の目的」
...たゞ專門の學に汲々として居るばかりで...
新渡戸稻造 「教育の目的」
...そして小胆な彼は汲々として働いてゐるのだ...
牧野信一 「父の百ヶ日前後」
...それにしても何うしてそんな見得に秘かに汲々としてゐるのか? と悲しんだが...
牧野信一 「武者窓日記」
...大砲を造ることに汲々として砲弾の用意を忘れたものに等しい...
牧野富太郎 「植物記」
...同輩たちは彼の寵を獲(え)ることに汲々としていたし...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トニオ・クレエゲル」
...同時になる丈沢山食べられるだらうかと云ふ研究に汲々としてゐる...
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 森林太郎訳 「祭日」
...汲々として紅塵(こうぢん)埃裏(あいり)に没頭し...
山路愛山 「英雄論」
...守れ」の一方でただ要害をきびしくするに汲々としていたが...
吉川英治 「三国志」
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