...片隅に積んだ自分の夜具からは薄汚い古綿が喰(は)み出してる...
石川啄木 「病院の窓」
...どんな汚い家にでも訪ねて往かなければならない医者のからだは...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...木目のはつきりした汚いテーブルの上に流れると...
武田麟太郎 「釜ヶ崎」
...汚い冗談ばっかり言い散らしている...
太宰治 「正義と微笑」
...たぬきが薄汚いゴム長靴(ながぐつ)などはいて来て...
太宰治 「正義と微笑」
...汚い二階の室(へや)には公園から伴(つ)れて来た女が淋しそうに坐っていた...
田中貢太郎 「女の首」
...小石川の汚い炭屋(すみや)の二階に下宿しているのであった...
田中貢太郎 「藤の瓔珞」
...思ったより汚い狭苦しい室だろう...
豊島与志雄 「反抗」
...この下宿へ落ちついたが、下宿から、中学の庭を透して見える、小汚い生垣の、傾いたような家が、夏目漱石氏の旧居で「猫」は、あすこで書いたんだよ、と、藤堂が説明してくれた...
直木三十五 「死までを語る」
...廓者(くるわもの)の住んでいる汚い長屋の立ちつづいた間から...
永井荷風 「里の今昔」
...汚い風こそして居りますが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...汚い樂屋(がくや)...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...汚い洗面所の鏡に写つた...
林芙美子 「瀑布」
...とある汚い酒店(さかみせ)で流れの女を相手にして飲み酔っている一人の荒くれ男がいたが...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...解剖家の仕事が汚いと云う事は医師以外の社会人の常識であるらしい...
森於菟 「屍体異変」
...それにネープルスは汚いとこじゃ...
横光利一 「旅愁」
...半風子(しらみ)に角力(すもう)をとらせているんだと答えた汚い坊さんがあったじゃありませんか」「あ……あの人」「え...
吉川英治 「宮本武蔵」
...自然無言勝ちになつた父母の顏には汚い白髮が...
若山牧水 「古い村」
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