...私は風来ものの大気紛れさ...
泉鏡花 「開扉一妖帖」
...その結果明かになったことは、大体に於いてあの人はああ云う風な洒脱(しゃだつ)な紳士型であるけれども、あれで案外気分屋で、時に依(よ)っては機嫌(きげん)の悪いこともあること、子爵家にはあの人の腹違いの兄に当る、嫡男(ちゃくなん)の正広と云う人があるが、その人とは分けても仲が悪くて、よく喧嘩(けんか)をすること、光代自身は見ていないが、激して来ると兄貴を殴ったりもしかねないと云う話であること、多少酒の上が悪い方で、酔うと随分乱暴をしたものであること、但(ただ)し近来は流石(さすが)に年を取って来たので、泥酔する程飲むようなことはめったになく、従って乱暴もしなくなったこと、尤(もっと)もあの人は亜米利加(アメリカ)仕込みであるから、レディーに対しては礼儀に厚い方で、昔からどんなに酔っ払っても婦人に手を上げたりしたことはないので、その点は安心であること、等々であるが、なお一つ二つあの人の欠点を云えば、何事にも理解が早くて趣味が広い代りに、気紛れで、一つ事に熱中する根気がないこと、人を御馳走(ごちそう)したり、世話したりすることが大好きで、金を散ずることは上手であるが、作ることは下手であること、等々であると、光代は貞之助が尋ねないこと迄も、進んで答えたのであった...
谷崎潤一郎 「細雪」
...それでも以前にはとき/″\気紛れに彼女たちを訪れることがあったけれども...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...淡い気紛れなものであったが...
谷崎潤一郎 「二人の稚児」
...食事のとき気紛れな口喧嘩をせずにすんだことは一度もなかった...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...そして気紛れに箸の先で毛虫をとったりしている自分の愚かさに気が付いた...
寺田寅彦 「蜂が団子をこしらえる話」
...わたしが妻の気紛れを咎めると...
トルストイ 米川正夫訳 「クロイツェル・ソナタ」
...それは断じて気分の気紛れではなく...
中井正一 「絵画の不安」
...決して気紛れでは無かったのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...気紛れにチョッチョッと呼んでも...
二葉亭四迷 「平凡」
...この気紛れな衝動のおかげであった...
アルジャナン・ブラックウッド 森郁夫訳 「秘密礼拜式」
...ほんの気紛れだつたんだ...
牧野信一 「明るく・暗く」
...「私は九郎ぢやない――気紛れといふ性質を知らぬ唯物論者だ...
牧野信一 「ゾイラス」
...気紛れなハーモニカや一組のトランプなど入つてゐるズツクのバケツを携へたお雪を従へて...
牧野信一 「ダニューヴの花嫁」
...例の気紛れで不意とあいつに姿を隠されでもしたら片なしだからな...
牧野信一 「月あかり」
...(b)往々にしていとも気紛れなる「時」の手がこわれはてたる定命を縫い繕いたり...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...更に嗜好や気紛れにも支配される...
デイヴィド・リカアドウ David Ricardo 吉田秀夫訳 「経済学及び課税の諸原理」
...急に何か気紛れを起したりすると...
ルナール Jules Renard 岸田国士訳 「博物誌」
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