...気弱な事でありました...
伊藤野枝 「背負ひ切れぬ重荷」
...けれど、世間の多くの人達の生活を見まはすとき、私は卑怯であつても、意久地なしでも、兎に角、彼女程本当に、生真面目に苦しんでゐる人が、どれ丈けあるだらうと考へますと、気弱ながらも、とう/\最後まで自分を誤魔化し得なかつた正直さに対しては尊敬しないではゐられないのであります...
伊藤野枝 「背負ひ切れぬ重荷」
...徳次郎は意味ありげに気弱な顔を見せた...
犬養健 「朧夜」
...知つてゐます」気弱な徳次郎はそれをまだ家の誰にも話さなかつたので...
犬養健 「朧夜」
...そんな気弱な遠廻しの弁解をなさらずとも...
太宰治 「きりぎりす」
...気弱な父の採点である...
太宰治 「火の鳥」
......
峠三吉 「原爆詩集」
...田舎(いなか)風の赤い大きな着物をつけた羊飼いの少女、背が高く内気で、やさしい声をもち、鐘の音の歌に夢想し――(彼女も彼と同じく鐘の音が好きだった)――慧敏(けいびん)と温情とに満ちた美(うる)わしい微笑を浮かべ、いつも流れ出さんばかりの涙――愛の涙、憐憫(れんびん)の涙、気弱な涙、をたたえていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...これが前にもいった怜悧(れいり)なことと気弱なこととが結(むす)びつく理由であろう...
新渡戸稲造 「自警録」
...芯は気弱なのかも知れない...
林芙美子 「「リラ」の女達」
...誰も彼も気弱な癖して自分に塀を囲んでゐるのであつた...
林芙美子 「「リラ」の女達」
...いずれそのうち此処からは出るつもりなのですけれど――」と私がいつになくつい気弱な返事をすると...
堀辰雄 「かげろうの日記」
...自分の気弱な舌をいいわけにしたが...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「神の剣」
...ほんとに気弱な可哀そうな人なんですもの...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...ずいぶんと気弱な話である...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...これでお気弱な後深草の長い鬱積もいッぺんに霽(は)れたわけだ...
吉川英治 「私本太平記」
...「前田又左衛門ともあろう者に似気ない気弱な……」と笑った...
吉川英治 「新書太閤記」
...気弱な将頼と思っていたが...
吉川英治 「平の将門」
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