...かしこに母は坐(ざ)したまふ紺碧(こんぺき)の空の下(した)春のキラめく雪渓に枯枝(かれえ)を張りし一本(ひともと)の木(こ)高き梢あゝその上にぞわが母の坐(ざ)し給ふ見ゆ蜻蛉無邪気(むじやき)なる道づれなりし犬の姿何処(いづこ)に消えしと気付ける時われは荒野(あれの)の尻(しり)に立てり...
伊東静雄 「詩集夏花」
...それから気付け薬として...
海野十三 「奇賊は支払う」
...この事実は書物の洪水の中に浮沈する現在の青少年への気付け薬になるかもしれない...
寺田寅彦 「読書の今昔」
...気付けや水を飲まされたが...
徳田秋声 「縮図」
...そして自分の苛ら立ちに気付けば気付くほど...
豊島与志雄 「蘇生」
...人は生活を赤裸々にして羽毛蒲団(はねぶとん)の暖さと敷布(しきふ)の真白(ましろ)きが中に疲れたる肉を活気付けまた安息させねばならぬ...
永井荷風 「夏の町」
...気付けの薬を自分の口へ入れて噛(か)む...
中里介山 「大菩薩峠」
...そういうことが大変悪いと気付けば本当である...
野村胡堂 「最近の犯罪の傾向に就て」
...すっかりガラッ八を景気付けました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...気付け薬が欲しい」と言って戸を開けさせ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...――変死人は気味の好(よ)いものではないが」平次はこの親切で明るい娘を勇気付けるように...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「それから景気付けに一杯呑むつもりで...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...そうそう貴方(あなた)はまだ丁年(ていねん)未満ネ、お酒はいけないんでしたネ、だけど、目を廻して直ったばかりのホヤホヤなんだから、お薬に頂く分には構わないでしょう、少しやって見ましょうよ、気付けに、このコニャックは、そりゃ素的よ……」か細い手が、チョコレート色の壜にかかるのを止めて、「あれは何んでしょう」コップを卓(テーブル)の中ほどに押しやって、照れ隠しともなく、深井少年は斯う聞き耳を立てました...
野村胡堂 「焔の中に歌う」
...五医師に与えられた気付け薬の利き目で...
平林初之輔 「祭の夜」
...それからかなりの医学上の知識から思いついたある効き目のある気付け薬を用いた...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「早すぎる埋葬」
...」「さあ、そでば、気付けないがた...
宮沢賢治 「鹿踊りのはじまり」
...もっとも後者はつまるところ、その手記を私に提供した老婦人の手柄になった訳ですけれども、いずれにしても縁もゆかりもない一素人の投稿作品を、あんなにまで徹底的に読んであんなにまで真剣に批判して下すった同氏の、芸術家としての譬(たと)えようのない、清い高い「熱」によって、私がどんなにまで鞭撻(べんたつ)され、勇気付けられ、指導されたか……という事は、私自身にも想像が及ばないでいるのです...
夢野久作 「江戸川乱歩氏に対する私の感想」
...その瀬音を耳にすると一行は俄(にわか)に元気付けられた...
吉江喬松 「木曾御嶽の両面」
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