...気丈な猪熊(いのくま)のばばも...
芥川龍之介 「偸盗」
...祖母は眼鏡をかけながら『婆さんの気丈なのも真似が出来ないけれど...
伊藤野枝 「白痴の母」
...けれど気丈な母は...
上村松園 「わが母を語る」
...早く電燈をつけ給え、何をぐずぐずしているんだ」呶鳴(どな)りながら、気丈な老人は、もう梯子を昇り始めていた...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...一杯だけ」気丈な妻も自分の退院をやはり祝おうとするのか...
外村繁 「日を愛しむ」
...妻は至って気丈な性質である...
外村繁 「落日の光景」
...さすが気丈な女が声を揚げて泣きました...
中里介山 「大菩薩峠」
...八重は気丈な娘でございますから...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...名代(なだい)の気丈なものだったそうですが...
長谷川時雨 「人魂火」
...気丈な婆さんだと書いてあった...
長谷川時雨 「明治美人伝」
...なんという気丈な娘だろうと道益は心のなかで舌を巻いていると...
久生十蘭 「うすゆき抄」
...数十年間寡婦として旧家を維持してゐた気丈な昔気質の女性であつたので...
正宗白鳥 「幼少の思ひ出」
...あのとおり気丈な方だ...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...彼は血汐の中から気丈な顔を上げて...
吉川英治 「剣難女難」
...頼尚(よりひさ)はしいて語気に気をつけながら「なかなか気丈な老父でございます...
吉川英治 「私本太平記」
...だが、その弾(はず)みに、病人の枕に蹴躓(けつま)ずいたので、気丈な、彼女の父は、自分の病体をも忘れて、「誰だッ」と、賊の片足をつかんだ...
吉川英治 「治郎吉格子」
...おれたちのために、この人を死なせては」と、馬の背へ抱き上げ、なお何か、気丈な李応は、叫んでいたが「――ひとまず退(ひ)け」と、麓へさして、総人数、なだれて帰った...
吉川英治 「新・水滸伝」
...嵐の去った跡のように、シーンとなった万吉の留守宅には、狼藉(ろうぜき)に取り散らかされたものの中に、お吉が箪笥の鐶(かん)によりかかって、ほつれ毛もかき上げずに、いつまでも今の口惜しさにおののいていた――が、気丈な女、泣いてはいない...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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