...気の弱い男というものは...
太宰治 「新釈諸国噺」
...乃公の如き気の弱い貧書生は永遠の敗者として嘲笑せられるだけのものか...
太宰治 「竹青」
...野中先生もあれで気の弱いお方ですから...
太宰治 「春の枯葉」
...それに、君の亭主は、気が弱くて、街頭に出て、あの、いんちきの万年筆を、あやしげの口上でのべて売っているのだが、なにせ気の弱い、甘えっ子だから、こないだも、泉法寺の縁日で、万年筆のれいの口上、この万年筆、今回とくべつを以て皆さんに、会社の宣伝のため、無代進呈するものであります、と言って、それから、万年筆の数にも限りがあり、皆さん全部に、おわけすることもできず、先着順に、おしるしだけ金十銭也をいただいて、と急いで言い続けなければいけないところを、無代進呈するつもりであります、と言い切って、ふと客のほうを見ると、ひとり刑事らしい赤らがおの親爺が客のうしろで、にやっと笑って、君の亭主は、それを見るなり、かっと一時にのぼせちゃって、無代進呈するつもりであります、ほんとうに無代進呈いたします、おれは嘘なんか、つかない、なあに、こんな商売していても、お客を、だますことなんか、きらいなんだ...
太宰治 「春の盗賊」
...気の弱いことではいけないどうも俺は気が弱いからそれがためにこれまで何かの点に於て損をしてゐる...
田中貢太郎 「水郷異聞」
...気の弱い人だったので...
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー Marie Louise de la Ramee 菊池寛訳 「フランダースの犬」
...あの人は気の弱い人でしょう...
中里介山 「大菩薩峠」
...誰も取って食おうとは言いませんよ」「…………」「そんな気の弱い...
中里介山 「大菩薩峠」
...だが甞て乱暴したということもなくてどっちかというと酷く気の弱い所のあるのは彼の母の気質を禀けたのであった...
長塚節 「太十と其犬」
...気の弱い兄を苦しめた...
夏目漱石 「道草」
...今更そんな気の弱い事でどうするんだ...
野村胡堂 「悪人の娘」
...――気の弱いあの野郎にしちゃ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...同じ怨みを抱いている茂吉を誘った」「…………」「茂吉は気の弱い男だが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...その間に立って、気の弱い男女は、互いに可愛い子供を残して身を亡(ほろぼ)したのである...
長谷川時雨 「明治美人伝」
...この九分の危険率を問題にするような気の弱い男ではない...
久生十蘭 「魔都」
...稍ともすると私は気の弱い食客の心地に襲はれた...
牧野信一 「病状」
...倉の陰で子守相手に「塵かくし」ばかり仕て居たほど気の弱い頭の鉢の開いた様な子だったが十九の年...
宮本百合子 「栄蔵の死」
...あの、気の弱い、すんなり痩(や)せ細(ほそ)った容(かたち)で、咳(せき)にまじって出る血を、人目に隠しながら、いつも鬱気(うつき)でいたお米――それと目の前の人とがどう考えても、同じだと思われなかった...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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