...松太のいる同じ満洲に行くことさえできれば満足だ、同じ満洲に松太がいることさえわかれば、それで気が済む、死んでも心残りはないと、頑としてきかなかつた...
伊藤永之介 「押しかけ女房」
...高い価(あたい)を出した大事の切符を使えば気が済むのでもあった...
魯迅 井上紅梅訳 「村芝居」
...一往本家の気が済むように東京まで附いて来たのであるのに...
谷崎潤一郎 「細雪」
...要するに道義上の金を醵出したということで気が済むのであり...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...国民が之で気が済むとなればよほどどうかしているのである...
戸坂潤 「近衛内閣の常識性」
...「何んと、まんまと、失敗(しくじ)ったの」有村は、追って来る舟を、時々、振返りながら「何うも、命を惜しんでする仕事は、いかんて」「いかんと申しても、これで、気が済む...
直木三十五 「南国太平記」
...兄哥の気が済むなら――」平次は思いのほか気軽に御輿(みこし)をあげました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...何となく気が済むのだ...
林芙美子 「新版 放浪記」
...気が済むと云う事は一番金のかからない愉しみだ...
林芙美子 「新版 放浪記」
...かえって僕はさめざめと泣けば気が済むところだった...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...「それではどういたせばお気が済むのでございますか」女房はこう答えた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...ファウストそれで君の気が済むことなら...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...ただそれだけで済むと思うか」「ではどうしたら気が済むというんです」「土下座をしてあやまれ」「…………」「そうすれば武士の作法がどんなものか少しはわかるだろう...
山本周五郎 「新潮記」
...もっとも大きい責任がある筈だ」「それで気が済むなら...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...匂いだけでも気が済むんだから...
山本周五郎 「柳橋物語」
...本人も気が済むんでしょうから」「心当りへ...
吉川英治 「脚」
...それで気が済むんだから他愛はない...
吉川英治 「宮本武蔵」
...強調すべき点は気が済むまでも詳しく書こうとする...
和辻哲郎 「生きること作ること」
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