...毛筋が透(とお)って...
泉鏡花 「悪獣篇」
...その毛筋へぽた/\と血の滴るやうに見えたのは...
泉鏡花 「遺稿」
...猛然として、藍染川、忍川、不忍の池の雪を思出すと、思わず震える指で、毛筋を引けば、手繰れば、扱(しご)けば、するすると伸び、伸びつつ、長く美しく、黒く艶やかに、芬(ぷん)と薫って、手繰り集めた杯の裡(うち)が、光るばかりに漆を刷(は)く...
泉鏡花 「薄紅梅」
...毛筋(けすぢ)の通(とほ)つた水髮(みづがみ)の鬢(びん)の艶(つや)...
泉鏡太郎 「艶書」
...毛筋も透通るような頸(うなじ)を向けて...
泉鏡花 「婦系図」
...毛筋程の手掛りもなかった...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...もしこの男が毛筋ほどでも正直といふ事を知つてゐたら...
スティーヴンスン 佐藤緑葉訳 「帽子箱の話」
...ふくれて稍亂れた毛筋の中に其明るい光りが惜し氣もなく射し込んで...
高濱虚子 「俳諧師」
...鶴子さんは自分から毛筋で鬢を脹らませ...
高濱虚子 「俳諧師」
...浴室の弱い電燈の光に眼鏡なしの老眼では毛筋がよく見えないだけにいっそう始末が悪い...
寺田寅彦 「柿の種」
...鬢(びん)に毛筋を入れているのを...
徳田秋声 「挿話」
...濃い頤髯(あごひげ)には真黒な毛筋も見えていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...ほんの毛筋ほどでも外へ踏み出そうものならすぐ途端に喧嘩の火の手が上るのです...
トルストイ 米川正夫訳 「クロイツェル・ソナタ」
...忘れんとして躊躇(ちゅうちょ)する毛筋の末を引いて...
夏目漱石 「虞美人草」
...なさけ用捨もなく毛筋ほどのおもねりもありません...
長谷川時雨 「鏡二題」
...毛筋棒(けすじ)のさきで丸髷の根元を撫(なで)ている時鬘(かつら)のように格好のいい頭を...
長谷川時雨 「神田附木店」
...毛筋ほどでも院のお耳にはいることがあったら申し訳がないと言っておいでになりましたのに...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...良人が達者でいた頃のこの一家には毛筋ほどの不平も不満もなかった...
矢田津世子 「茶粥の記」
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