...ハイネはこの「ドイツ・ロマン主義運動」の一節の中(うち)に芸術の母胎へ肉迫してゐる...
芥川龍之介 「文芸的な、余りに文芸的な」
...尊い一つの魂が母胎を破り出ようとして苦しんでいる」私はそう思ったのだ...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...彼は『母胎』という言葉に似たものを感じながら...
梅崎春生 「幻化」
...人間の母胎(ぼたい)から生れてきたかどうか...
海野十三 「第四次元の男」
...といふよりも自己観照――それが一切の芸術の母胎――が隅から隅まで行き届く...
種田山頭火 「其中日記」
...人民戦線への運動のためになぜ母胎自身と対立するような政党を必要とするのであるか...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...そこから文学主義を導き出す母胎であるのである...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...他の新たな人物の背景的母胎でもある...
豊島与志雄 「小説・評論集「文学母胎」後記」
...湯川さんの仕事の母胎になったのは...
中谷宇吉郎 「湯川秀樹さんのこと」
...まだ其処まで単独のものでなく母胎の命の中の一物であるうちに母が胎児の幸福と信ずる信念通りにこれを左右する事は母の権内にあつていゝ事と思ひます...
原田皐月 「獄中の女より男に」
...御書講に出仕したこともある才媛で、理非の弁別のはっきりした、非情なまでに折目正しい、身のうちに温味があるのかと思うような冷々(れいれい)と冴えかえった感じで、この母胎なら、どんな向う見ずな生命でも、とうてい宿りようがなかろうと思ったからである...
久生十蘭 「うすゆき抄」
...新しい世代の母胎となったように...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...私達は同じく同じ神の声を同じ母胎の中で聴き...
室生犀星 「愛の詩集」
...郷土会はやがて『郷土研究』を出す母胎となり...
柳田国男 「故郷七十年」
...母胎内で見残した「胎児の夢」の名残を見ているのである...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...又は胎児の骨ばかりが母胎内に残っていたり...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...宏遠な天業の大範と祖神人の恩惠は忘れがちになつて、その道統から發達した現状の物質的文化の動きや色や音響の方にのみ多くを囚はれがちになり、それを基調とする輸入思想や學問の小智は、國家の母胎も、民族的本性を反省するに遑なく、唯、現代の機械的組織のみを論議するのであつた...
吉川英治 「折々の記」
...習字を廢し標準語の母胎であつた文字の理解がすつかり失はれた頃には...
吉川英治 「折々の記」
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