...竹見はこの船に居残るという...
海野十三 「火薬船」
...残る所は、ただ唾棄(だき)すべき盗賊としての軽蔑ばかりだ」「フフン、君に軽蔑されようが、尊敬されようが、俺は少しも痛痒を感じぬよ」「アア、アルセーヌ・ルパンというのは、君みたいな男だったのか...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...すは津波こそ、はや逃げよ、と老若男女われさきにと逃迷ひしかど、しばしが間に打寄て、民屋田畑草木禽獣まで少しも残らず海底のみくづと成れば、生残る人民、海辺の村里には一人もなし、扨こそ初に神々の雲中を飛行し給ひけるは此大変ある事をしろしめして此地を逃去り給ひしなるべしといひ合て恐れ侍りぬと語りぬ...
太宰治 「津軽」
...残る二羽が仲よくあくびをし...
永井隆 「この子を残して」
...残るところは宇治...
中里介山 「大菩薩峠」
...それよりも自分には最も御気の毒な印象として残るのは...
中谷宇吉郎 「御殿の生活」
...何もかも残るところなく用意を整えた積りでしたが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...前夜の宵宮も、一種の情緒を持った賑わいで、江戸で無ければならぬ面白さでしたが、その日は相憎(あいにく)の大夕立で出足を阻まれ平次とガラ八が出動する頃になって、残る夕映の中に、漸く町々の興奮は蘇返(よみがえ)って行く様子でした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...身代烟(けふ)りと成りて消え残る我等何とせん...
樋口一葉 「大つごもり」
...Cという女の値は依然としてXのままで残ることになった...
久生十蘭 「金狼」
...こちらに残るんですよ...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...この世に未練の残るわけもないような人も...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...かくして今日までも美は個性美であるという考えが強く残る...
柳宗悦 「工藝の道」
...特に使用せられた各種の日常の用器に素晴らしい作が残る...
柳宗悦 「工藝の道」
...この塚は百ヶ所にありといえども百本の串を作りて塚ごとに一本ずつ立つるに一本は必ず残る...
柳田國男 「地名の研究」
...七十郎のあとに残るのが心ぼそいらしい...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...どうも思い出せませんが……」舌に残る甘い唾を嚥(の)みながら俯向いた...
吉川英治 「雲霧閻魔帳」
...秀吉は未明の頃から出立を発令して、残る人々へ、「さらば」と告げ、きのうは陣輿(じんごし)だったが、今朝は馬上で、風雨の中をもう真ッ先に急いでいた...
吉川英治 「新書太閤記」
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