...予は予のかういふ弱い心を殊更に人に告げたいとは思はない...
石川啄木 「郁雨に與ふ」
...後(うしろ)の木立の濃い緑と映り合つて殊更に明るく...
石川啄木 「鳥影」
...萩の葉も殊更に写生の色を避けていっさい緑青気の生々しいものを使わず...
上村松園 「画道と女性」
...殊更に重要な位置を占めて居る...
田山録弥 「小説新論」
...殊更にお骨折になったかもしれませんね...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...アートレ,デース殊更に心憂にうち沈み...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...殊更に困難と健鬪して見たいといふ樣な氣を起して...
朝永三十郎 「學究漫録」
...殊更に朝早く起出(おきいで)て...
永井荷風 「狐」
...殊更に立止って野営の人形を眺めるものはないらしいようであった...
永井荷風 「※[#「さんずい+(壥−土へん−厂)」、第3水準1-87-25]東綺譚」
...殊更に真面目(まじめ)な句調で吹聴して来(き)た...
夏目漱石 「それから」
...どんなふうに善処した」「殊更にあのような大胆な行為をしたのは...
久生十蘭 「魔都」
...いうまでもない充分に可視さるべき種々の情況を殊更に回避して...
久生十蘭 「魔都」
...」と純造はイヤな心を見せるのが悪いやうな気がしたので殊更に豪放を示した...
牧野信一 「坂道の孤独参昧」
...殊更にその扮する役々を云はず...
正岡容 「大正東京錦絵」
...笑つた後だけに殊更に寂しくなつて...
三好十郎 「妻恋行」
...何を殊更に言ひつけるとか命令することが憚られ...
室生犀星 「渚」
...いちばん重要な問題は、もし彼が、禅尼の乞いのため、いやいや意志を曲げたものなら、なにも、頼朝の身を、殊更に、源氏の族党の多い――そして源氏の地盤ともいえる関東地方などへ流してやる必要はないということだ...
吉川英治 「随筆 新平家」
...“ツリカゴ”は小さい家だったけれど、中は皆ボックスばかりで、どのテーブルも真黒などっしりしたものであり、又客の尠い為でもあろうか、幾ら長く居ても、少しも厭な顔を見ないで済むのが、殊更に、気に入ってしまったのだ...
蘭郁二郎 「孤独」
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