...髯を綺麗に剃った顋の所の人と違っている顔が殊更に引き立って見える...   
アルチバシェッフ M. Artzibaschew 森鴎外訳 「罪人」 
...信吾は智惠子に對して殊更に尊敬の態度を採(と)つた...   
石川啄木  「鳥影」 
...娘たちが殊更に狼狽の様子を見せたり...   
伊藤永之介  「押しかけ女房」 
...殊更に家庭の円満とか家庭の趣味とか...   
伊藤左千夫  「家庭小言」 
...それを皆に殊更に話すほどの興味も感じなかつた...   
伊藤野枝  「惑ひ」 
...萩の葉も殊更に写生の色を避けていっさい緑青気の生々しいものを使わず...   
上村松園  「画道と女性」 
...これ我の殊更に遠きを厭(いと)はずして...   
田山花袋  「秋の岐蘇路」 
...私は殊更に近所の...   
外村繁  「澪標」 
...私はそれまで天というものを殊更に考えたことはなかったのだが...   
豊島与志雄  「「草野心平詩集」解説」 
...殊更に反抗して議長を困らせるような事があったから...   
内藤鳴雪  「鳴雪自叙伝」 
...風に動く木の葉の乾いた響が殊更に晴れた夏といふ快い感じを起させたが...   
永井荷風  「花より雨に」 
...お抱えの歴史家は殊更に卑劣な曲筆を弄し...   
久生十蘭  「フランス伯N・B」 
...殊更に王様を犯人としなければならぬ目的は何辺(なへん)にあるのかと考えて見た...   
久生十蘭  「魔都」 
...」と純造はイヤな心を見せるのが悪いやうな気がしたので殊更に豪放を示した...   
牧野信一  「坂道の孤独参昧」 
...何だか殊更に閑寂を悦ぶ...   
牧野信一  「砂浜」 
...「何か用なの?」私は殊更に急に冷かに...   
牧野信一  「砂浜」 
...「あの頃のお前は村の居酒屋で生気を失っている僕を――」と殊更にその通りの思い入れで...   
牧野信一  「ゼーロン」 
...向島秋葉の原忠弥正雪出会と殊更にひねつた三場を上演することを忘れなかつた...   
正岡容  「異版 浅草燈籠」 
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