...この歌は殊更に、美しいジューリアのために歌はれたものかも知れないし、或ひはさうでないかも知れなかつたが、彼の舞踏の相手はさういふ名であつた...
アーヴィング 高垣松雄訳 「クリスマス・イーヴ」
...予は予のかういふ弱い心を殊更に人に告げたいとは思はない...
石川啄木 「郁雨に與ふ」
...何故殊更に自分の気に入るかは...
石川啄木 「葬列」
...後(うしろ)の木立の濃い緑と映り合つて殊更に明るく...
石川啄木 「鳥影」
...殊更に輕蔑するの...
石川啄木 「我等の一團と彼」
...(これは雑誌社としてはまつたく珍奇な事であるから殊更に書いたのである...
宇野浩二 「思ひ出すままに」
...殊更にその危い場所をえらんで斧をおいたか...
江戸川乱歩 「疑惑」
...将軍家のお気をお引きたてなさるやうに殊更に高くお笑ひになつて...
太宰治 「右大臣実朝」
...殊更に真面目(まじめ)な句調で吹聴して来(き)た...
夏目漱石 「それから」
...故に詩句の万里の秋を変じて殊更に春とせるか)辛抱(しんぼ)しやんせと目に涙...
楢崎龍、川田雪山 「千里駒後日譚」
...そんな氣配を今日殊更に先生にお見せるのは厭やだつた...
南部修太郎 「日曜日から日曜日まで」
...殊更に王様を犯人としなければならぬ目的は何辺(なへん)にあるのかと考えて見た...
久生十蘭 「魔都」
...きょうは殊更に血の気を頬に透かせていた...
堀辰雄 「菜穂子」
...何だか殊更に閑寂を悦ぶ...
牧野信一 「砂浜」
...今日は殊更に暑いではないか...
牧野信一 「舞踏学校見物」
...大目附でも言句(げんく)はない筈じゃからのう……殊更に御老中の久世広周(くぜひろちか)殿も...
夢野久作 「斬られたさに」
...殊更に注意して避けるのだった...
吉川英治 「上杉謙信」
...“ツリカゴ”は小さい家だったけれど、中は皆ボックスばかりで、どのテーブルも真黒などっしりしたものであり、又客の尠い為でもあろうか、幾ら長く居ても、少しも厭な顔を見ないで済むのが、殊更に、気に入ってしまったのだ...
蘭郁二郎 「孤独」
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