...かの鰯の頭も信心柄の殊勝な連中が...
石川啄木 「葬列」
...どれだけ空虚になつてるかも稽へず「べからず」十五箇條を作つて天下の女學生を救はうと企てた殊勝な老人(としより)達があつた...
石川啄木 「文藝中毒」
...燈は遠し、手探りを、何の気もなく草鞋を解いて、びたりと揃えて、トンと船底へ突込(つきこ)むと、殊勝な事には、手拭の畳んで持ったをスイと解き、足の埃をはたはたと払って、臀(いしき)で楫(かじ)を取って、ぐるりと船の胴の間にのめり込む...
泉鏡花 「浮舟」
...息絶えけるぞ殊勝なる...
巌谷小波 「こがね丸」
...参詣人が来ると殊勝な顔をしてムニャムニャムニャと出放題なお経を誦(ず)しつつお蝋(ろう)を上げ...
内田魯庵 「淡島椿岳」
...庭木をいたはる心がけは殊勝なことだが...
薄田泣菫 「茶話」
...こうした殊勝な心がけは...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...各国の殊勝な人々の希願と努力とに...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...が彼の殊勝な意志は報いられなかった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...子供があっては芝居にも行けない――それも別に不平の調子でではなく至って殊勝な調子で――などと...
豊島与志雄 「理想の女」
...やがてその笑止ながら殊勝な敵愾心(てきがいしん)はもはや組長の権威をも無視するまでにたかぶつてひとりの奴は仰山に「あらあら...
中勘助 「銀の匙」
...許させ給え」と殊勝な御辞退ぶりです...
中里介山 「大菩薩峠」
...殊勝な面(かお)をして神様に拝礼することですから...
中里介山 「大菩薩峠」
...殊勝な心掛になりかけた時分でした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...殊勝な面をするな」といって...
久生十蘭 「魔都」
...重衡 旅人の難儀や嘆きを見るに忍ばず、替わってやろうとは、殊勝な志...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...殊勝な隆造に頼り深さを更に感じたらしかつた...
牧野信一 「白明」
...そのごとく声聞(しょうもん)や縁覚(えんがく)よりは菩薩迥(はる)かに功徳殊勝なりとし...
南方熊楠 「十二支考」
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