...若手の作者よ、小説家よ!……天晴(あっぱ)れ、と一つ煽(あお)いでやろうと、扇子を片手に、当時文界の老将軍――佐久良(さくら)藩の碩儒(せきじゅ)で、むかし江戸のお留守居と聞けば、武辺、文道、両達の依田(よだ)学海翁が、一(ある)夏土用の日盛(ひざかり)の事……生平(きびら)の揚羽蝶の漆紋に、袴(はかま)着用、大刀がわりの杖を片手に、芝居の意休を一ゆがきして洒然(さっぱり)と灰汁(あく)を抜いたような、白い髯(ひげ)を、爽(さわやか)に扱(しご)きながら、これ、はじめての見参...
泉鏡花 「薄紅梅」
...そこは先生、武辺者だから、身構えしつつ、土間取附(とっつき)の急な階子段(はしごだん)を屹(きっ)と仰いで、大音に、「頼もう!」人の気勢(けはい)もない...
泉鏡花 「薄紅梅」
...僕に話したが昔時(むかし)の武辺者(ぶへんしゃ)に...
関根黙庵 「枯尾花」
...三百大名が武辺者や兵法者を競って抱えたは昔のことで...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...腕に覚えの武辺者が六人...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...血の荒れの見え透(す)く獣物(けだもの)じみた武辺流のなかでは...
久生十蘭 「うすゆき抄」
...この事ほど武辺の話題になったことはない...
吉川英治 「黒田如水」
...御武辺のことはよう分りませぬが...
吉川英治 「私本太平記」
...幕府の国府や途中の武辺に怪しまれては一大事だが」「ご懸念には及びませぬ」自信をもって吉致は言った...
吉川英治 「私本太平記」
...朝廷むきの御儀(おんぎ)にはいっこう不案内な武辺者...
吉川英治 「私本太平記」
...あくまで武辺話に終始した...
吉川英治 「私本太平記」
...武辺(ぶへん)の心がけ...
吉川英治 「新書太閤記」
...――われらごとき武辺者(ぶへんしゃ)は...
吉川英治 「親鸞」
...ただ余(あま)りに血に飽いて荒(すさ)んだ心のやすみ場を探しているに過ぎないので」「武辺者と仰せられたが...
吉川英治 「親鸞」
...武辺一辺では決してなかった...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
...政宗公という一箇の武辺を中心として...
吉川英治 「宮本武蔵」
...べつに武辺者の自己の恥辱とも考えず答えると...
吉川英治 「宮本武蔵」
...それがしは北陸の武辺者...
吉川英治 「柳生月影抄」
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