...自分はまだどうしても此の世の人でないとは思はれない...
伊藤左千夫 「奈々子」
...それが済むと最後に此の世界から退いて独りになり...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...此の世で一ばんお情の深いおかたです...
太宰治 「新ハムレット」
...明くる年の夏の終りに父は此の世を去ったのであるが...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...生きて此の世に罪を重ね...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...それをきくからは此の世になんのみれんがあろう...
谷崎潤一郎 「盲目物語」
......
中原中也 「在りし日の歌」
...歩いてゆく私はもはや此の世のことを考へず...
中原中也 「死別の翌日」
...此の世の重き荷(に)はいよいよ増さん...
ノワイユ夫人 Comtesse de Noailles 堀辰雄訳 「生けるものと死せるものと」
...お前は由紀子に相違あるまい――が一度死んで法律的には此の世に存在しない人間だ...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...この人形は此の世に二つと無い宝物だ...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...「わしにはどうも此の世の中に...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...出来るかぎり此の世のよろこびを吸い貪(むさ)ぼるなら...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...検事は「女の一生」の主人公が私生児を育てる為に此の世の波と戦い抜いた姿こそ母性の尊い姿である...
宮本百合子 「「女の一生」と志賀暁子の場合」
...そのような自然な母の愛が此の世への出生をいため傷つけた私生児と云うものに対する従来の社会的偏見に反省を促されたものであったと思われます...
宮本百合子 「「女の一生」と志賀暁子の場合」
...此の世間的なアクタモクタをも避けないで...
三好十郎 「好日」
...もう此の世には存在しないのだ...
横光利一 「馬車」
...声を発すれば母も此の世に生れ出たるに似たり爾来(それより)母の懐(ふところ)を寝処(ねどこ)とし母の膝を遊び場とし母の乳を食物(しょくもつ)となし母の情けを生命(いのち)となす母にあらざれば...
吉川英治 「宮本武蔵」
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