...次に堺氏が「ルソーとレーニン」および「労働者と知識階級」と題した二節の論旨を読むと、正直のところ、僕は自分の申し分が奇矯(ききょう)に過ぎていたのを感ずる...
有島武郎 「片信」
...しかし正直のところ辻永は私よりもずっと頭脳(あたま)がよかった...
海野十三 「地獄街道」
...正直のところ、彼女は去年の春も、去々年(おととし)の春も、この花の下に立った時にそう云う感慨に浸ったのであり、そのつど、もう今度こそはこの妹と行を共にする最後であると思ったのに、今年も亦、こうして雪子をこの花の蔭に眺めていられることが不思議でならず、何となく雪子が傷(いた)ましくて、まともにその顔を見るに堪えない気がするのであった...
谷崎潤一郎 「細雪」
...私と来ては尚更の事で、正直のところ、その青白い彫刻のような輪廓(りんかく)を、仰ぎ見ることは出来ませんでした...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...が、今も云うようにそれは全く咄嗟の感じで、正直のところ、そのせいせいした心持が続いたのは、一時間ぐらいなものだったでしょう...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...「だが正直のところ...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 三上於菟吉訳 「株式仲買人」
...「正直のところ、あなたに無駄足を踏ませてしまったかもしれません...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「サセックスの吸血鬼」
...「正直のところ、僕にも証明できない...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「三枚の学生」
...僕は君と違って飽(あ)くまでもこの余裕に感謝しなければならないんだ」「飽くまでも僕の注意を無意味にして見せるという気なんだね」「正直のところを云えば...
夏目漱石 「明暗」
...正直のところ僕は君を思ひ出すのは好きぢやなかつた...
北條民雄 「道化芝居」
...正直のところ、自分は久保田君の藝術の力に、完全に頭を垂れて膝まづいたのである...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...まったく、正直のところ、もはや万策つきた最後のどたん場にのぞんでは、おのれの力を量らず何ものも譲るまいとがんばって、かえって乱暴者になにもかも蹂する機会を与えるよりは、むしろちっとばかり頭を下げてこれを叩かせておく方が、恐らく賢明なやり口であろう...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...でも正直のところ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...まったく、正直のところ、死になれ親しむためにはこれに接近するより仕方がないということを*、このとき始めてさとったのである...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...正直のところ、わたしはまだ、正不正を混同し・自分の欲望に適しないすべての秩序規則を嘲笑する・ほどの巧妙精密の極致には、到達していないのである...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...その時に私(あっし)が警察へ呼ばれまして正直のところを申立てましたら...
夢野久作 「悪魔祈祷書」
...知らん顔をしていたっけが」正直のところ...
夢野久作 「近眼芸妓と迷宮事件」
...正直のところもうイケないと思った...
夢野久作 「巡査辞職」
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