...吾々の音楽の溜息と深い歎きとは...
阿部次郎 「帰来」
...身の窮苦を歎き訴え...
泉鏡花 「活人形」
...歎き悲しんだようにござります...
泉鏡花 「海神別荘」
...分けて親は歎き悲しみました...
泉鏡花 「海神別荘」
...歎きぬ、葦はうら枯の上葉(うはば)たゆげに顫きて...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...彼の祖国印度に対する日本人の認識の誤りがちなのを歎き...
相馬愛蔵、相馬黒光 「一商人として」
...然るに則重公の夫人桔梗の方と申せしは淡路守の御妹君におはしければ深くも此れを歎き給ひ...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...これまでお歎きになりゃ...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「熊」
...主人の死体は二三人の驚きと歎きの中(うち)に横たわっておりました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...今朝からお孃樣若葉樣始め、召仕共の歎きで、お屋敷の中は滅入(めい)つたやうな心持だ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...それどころか、ほとんど、毎日のページに、憤りや、歎きや、自嘲や、ときには、放棄的な、暗澹とした文句が書き列ねてある...
火野葦平 「花と龍」
...彼等を覆ひかくすほどの長い歎きが...
ライナア・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 堀辰雄訳 「モオリス・ド・ゲラン」
...「のう、わしが、事あたらしゅう、いうまでもないことじゃが――」と、老いたる師匠は、煙管(きせる)を捨てて、「悪党ばらの、甘言奸謀の牲(にえ)となった、松浦屋どのの、御不運のはじめが、密輸出入(ぬけに)の露見――それと見ると、あの人々は、これまで、おだて上げ、唆(そそ)り立てていたのとうら腹に、おのが身の、身じん幕をまたたく間につけ、父御(ててご)にのみ、罪を被(かぶ)せたばかりか、お取調べの間の御入牢中をいい機会(しお)に日ごろから、そなたの母御の容色に、目をつけていた、土部三斎――浪路どのの父御が、そなたの母御を屋敷に招いて、さまざまうまいことを並べた末、操(みさお)を任せなば、父御の罪科を、何ともいいこしらえて、のがれ得させようとの強面(こわもて)――そのときの、母御のおくるしみ、お歎きは、いかばかりであったろうぞ! 三斎の意をうけた同類が、どのように、母御をおびやかし、おどかしつづけたかも、思うてもあまりがある――とうとう、長崎一の縹緻(きりょう)よし、港随一の貞女とうたわれていた母御は、あたら、まだ成女(おんな)ざかりを、われとわが身を殺してしまわれたのじゃ――な、雪之丞、それを忘れはいたされまいな?」「は――い――」と、雪之丞は、とろけた鉛が、五臓六腑を、焼きただらせるばかりの苦しみを、じっと押し怺えながら、「おぼえておりまする――母親の、あのむごたらしい死にざまを、子供ごころに、ただ怖ろしゅうながめました晩のことは、ありありと胸にうかびまする」「そうであろ、いかに頑是(がんぜ)ないころであったにいたせ、生みの母御の、知死期(ちしご)の苦しみを、ひしと身にこたえなかったはずがない――かの三斎どのこそ、父御(ててご)を陥れたのみではなく、母御を手にかけたも同然のお人じゃ――」と、菊之丞は、きびしく言ったが、ふと太い息をして、「とは申すものの、あの浪路どのに、何の罪もないのは、わしとても、よう知っている...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...暑い夏の日になっていよいよ病夫人の衰弱ははげしくなるばかりであるのを院は歎き続けておいでになった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...そのときのおいちの歎きようは異常であった...
山本周五郎 「つばくろ」
...常に流行の風を歎き...
山本笑月 「明治世相百話」
...あるじの歎き一方(ひとかた)ならず...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...そこからいま帰って来てひそかに洩らし悲しんだ妓生のこの歎きであった...
横光利一 「旅愁」
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