...広い部屋はその為に一層憂欝に見えるらしかつた...
芥川龍之介 「或阿呆の一生」
...)僕はいつか憂欝の中に反抗的精神の起るのを感じ...
芥川龍之介 「歯車」
...水色の風呂敷で包んだ電球は部屋の中を陰欝に照らしてゐた...
有島武郎 「An Incident」
...「まだ治療は始めないんですか?」まだ憂欝と悲哀の情緒が...
梅崎春生 「幻化」
...顔は三月の女鴉(をんなからす)のやうに憂欝にしづみ...
大手拓次 「藍色の蟇」
...そうしたわけでそんな家(うち)の厄介(やっかい)になったりするのが何ともいえず欝屈(うっくつ)であったが...
近松秋江 「霜凍る宵」
...憂欝狂(ゆううつきょう)と云う訳でもなく...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...彼等から来る陰欝なる影と腐爛の空気とは...
豊島与志雄 「意欲の窒息」
...右側は大きな陰欝な工場...
豊島与志雄 「溺るるもの」
...一瞬間前の陰欝な気分と現在の快暢な気分とが...
豊島与志雄 「愚かな一日」
...古木が欝蒼と茂り...
豊島与志雄 「樹を愛する心」
...」そして陰欝に顔を渋めてるきりだった...
豊島与志雄 「黒点」
...ただ、山根さんには多少不感症めいたところがあったかも知れないが、然しそれは取るに足りないことだし、南さんにしたところで、ホテルの昨夜、殆んど何にも分らなかったほどだし、とにかく、南さんの憂欝は、ちがった種類のものに相違なかった...
豊島与志雄 「南さんの恋人」
...かうした新らしい局面が此の四五日来の彼の気欝をどのやうに軽くしたか...
宮地嘉六 「煤煙の臭ひ」
...何しろ其頃六十歳を越えていた教授の青年時代の建築なのですべて古びて壁も板も黒ずみ陰欝である...
森於菟 「屍体異変」
...(この憂欝な、オドオドした少年が、一生懸命に見ているものは、何んだろう)誰でも、彼の平生を知っているものが、この様子に気付いたならば、一寸(ちょっと)頸をかしげたに相違ない...
蘭郁二郎 「夢鬼」
...そのせいか汽車から見える当麻(たいま)の山の濃く茂った※(りつしゅつ)とした姿が、ひどく陰欝に、少しは恐ろしくさえ見えた...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
...多武(とう)の峯(みね)の陰欝な姿を右にながめながら...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??