...殊に屡々頭をもたげて彼女を憂欝にするのであつた...
伊藤野枝 「乞食の名誉」
...時節(をりふし)のきはみなき欝憂は池に映(うつ)ろひ落葉(らくえふ)の薄黄(うすぎ)なる憂悶(わづらひ)を風の散らせば...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...発信者は誰誰も彼も憂欝に閉ざされていた...
海野十三 「地球発狂事件」
...つめたい春の憂欝よ...
大手拓次 「藍色の蟇」
...郵便が――待ちあぐねてゐる手紙が来ないので何となく憂欝...
種田山頭火 「一草庵日記」
...欝々として楽しまない...
種田山頭火 「其中日記」
...しづかな雨、憂欝な私、――ふさぎの虫めがあばれようとする...
種田山頭火 「道中記」
...憂欝狂(ゆううつきょう)と云う訳でもなく...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...凡てが陰欝に曇ってきた...
豊島与志雄 「古井戸」
...或る営養不良的な陰欝さを...
豊島与志雄 「文学の曇天」
...その憂欝はあらゆることを忘れさせる魅力を持っていて...
豊島与志雄 「水甕」
...心欝として楽しまず...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...私は軽快な心をもって陰欝(いんうつ)な倫敦を眺めたのです...
夏目漱石 「私の個人主義」
...鉛のような憂欝が...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...植込みの欝蒼(こんもり)した...
長谷川時雨 「古い暦」
...憂欝そうに身の上話をしたが...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...里春の纏(まと)いつきが欝陶しくてたまらない...
久生十蘭 「平賀源内捕物帳」
...憂欝な嫉妬と不安を私が感じないではいられないということが...
山崎富栄 「雨の玉川心中」
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