...人通りの多い往来は不相変毛生欅(ぶな)の並み木のかげにいろいろの店を並べてゐます...
芥川龍之介 「河童」
...墓所の後ろなる大きさ二抱えに余る古木の欅...
井上円了 「おばけの正体」
...五月頃の山毛欅(ぶな)の木の緑の中で...
グスタアフ・ヰイド Gustav Wied 森林太郎訳 「尼」
...欅(けやき)の樹で囲まれた村の旧家...
田山花袋 「一兵卒」
...冬にはいつも厚ぽつたい外套を着て古びた中折をかぶつてゐる丸の内辺の役所の属僚、肥つて脂ぎつた体格をして、銀の輪の嵌(はま)つてゐる太いステツキを持つた会社の支配人らしい男、痩せて鶴のやうな顔をしてゐる中老の教師らしい紳士、さうかと思ふと、毎朝麭町あたりの女学校に通ふ制服のセルの袴をつけた女学生――すべてさういふ人達は、この五六年の間に、Kがそこの角、かしこの角、林に添つた道の傍(かたはら)、新開町の方へと出て来る長い路の外れ、でなければ阪の上で、里川の橋の袂で、湯屋の角で、欅の大樹の下で、常に並んで歩いたり、すれ違つたり、あとになつたり先になつたりして、何処に住んでゐるのだらう? この新開地界隈の何処かに住んでゐるには相違ないが、さうかと言つて、口をきくくらゐのことはあつてもその家まで訪問するやうなことはないので、何ういふ暮しをしてゐるか、大きな垣を取廻した邸の主人か、それともまた林のかげに小さく世を避けてゐる人か、はつきりしたことはわからないけれども、兎に角かねて見知り越しになつてゐる人達の顔がそこにも此処にも集つて立つてゐるのをKは見た...
田山録弥 「くづれた土手」
...社長矢野さんの家の欅に雷が落ちたことを言いだそうとして...
豊島与志雄 「落雷のあと」
...こは棒ノ字字書の義に違ひたれば欅(クスキ)原にて訓もぬをすに誤りたる也社地今田ノ邊郷淺管村に在り萬葉集に度會の大河のへの若歴木(ワカクヌキ)われ久ならば妹戀ひんかもとあり...
内藤湖南 「卑彌呼考」
...あの欅(けやき)の木のこんもりとした中にお嬢様のお家があるのですよ」「お嬢様の……」お君にはここで前の日に小橋のほとりで会った...
中里介山 「大菩薩峠」
...いつたいどんな営みが始まつたのであらう街街は灯の暗号を残してかくれてしまふいつたいどんな呼吸が始まつたのであらう欅欅は梢を伸ばして天空に身を捧げる...
仲村渠 「夜」
...いまそちらへまいります」土手ぎわに大きな欅の樹が一本あって...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...流れがゆるやかに迂回して来る明るい毛欅(ぶな)の林の方を睨んだ...
牧野信一 「繰舟で往く家」
...小鳥が山毛欅の樹にさえずっているし...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「墓地へゆく道」
...つよい風が欅の若葉をふきつけていて...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...欅など真の盆栽も三十年代は全盛期で...
山本笑月 「明治世相百話」
...」何んとなく欅に云いたくて...
横光利一 「旅愁」
...欅もともに截り斃されてしまうのは定っていた...
横光利一 「旅愁」
...錠(じょう)のかかッている厚い欅戸(けやきど)があり...
吉川英治 「江戸三国志」
...刑罰(けいばつ)の千年(ねん)山毛欅(ぶな)一もう...
吉川英治 「神州天馬侠」
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