...櫟井(いちゐ)の一一丸邇坂(わにさ)の土(に)を...
稗田の阿礼、太の安万侶 「古事記」
...彼は月の蒼白(あおじろ)い光が櫟の枝にほんのりとかかった色彩のぐあいに眼をつけた...
田中貢太郎 「草藪の中」
...炉には樫(かし)、櫟(くぬぎ)、桑(くわ)などをくべたが、桑が一番火の保(も)ちがよく、熱も柔(やわら)かだと云うので、その切り株を夥(おびただ)しく燃やして、とても都会では思い及ばぬ贅沢(ぜいたく)さに驚(おどろ)かされたこと...
谷崎潤一郎 「吉野葛」
...櫟の葉は春、若葉が出ると一緒に散ります」と小説家の從兄が説明した...
辻村もと子 「春の落葉」
...此程並木の櫟(くぬぎ)を伐ったので...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
......
富澤赤黄男 「天の狼」
...櫟の木はびつしりと赭い葉がくつゝいて居る...
長塚節 「芋掘り」
...小松(こまつ)や櫟(くぬぎ)の林(はやし)に交(まじ)つて...
長塚節 「土」
...途に遙に小爆布をのぞむ多度山の櫟がしたに刈る草の秣が瀧はよらで過ぎゆく養老公園落葉せるさくらがもとの青芝に一むら淋し白萩の花養老の瀧白栲の瀧浴衣掛けて干す樹々の櫻は紅葉散るかも瀧の邊の槭(もみぢ)の青葉ぬれ青葉しぶきをいたみ散りにけるかも十七日...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...村は静かな空気の底に沈んで櫟林に包まれて居る...
長塚節 「隣室の客」
...然し櫟林は依然として居る...
長塚節 「隣室の客」
...いつて見れば春といふ季節は櫟林と何等の交渉もない...
長塚節 「隣室の客」
...今までのように、朝起きると窓を開けて、櫟林を眺めたり、バンガロの美しい娘さんのピアノを聞いたりと云う風な、そんな訳にはゆきませんでしたが、夕方窓を開けると、低い街の灯がキラキラして、秋らしい街の風景が、まことに眼に凉しく、大都会に住んでいるほこらしさが胸に来ました...
林芙美子 「清修館挿話」
...たそがれの櫟の小道...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...若芽のために櫟(くぬぎ)の切株が生きてるように』って...
葉山嘉樹 「山谿に生くる人々」
...水を隔てて嵐山の櫟谷(いちだに)を望み見る...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...翌年櫟などが少しずつ生えて来るらしい...
柳田国男 「故郷七十年」
...櫟林の先に何があって...
山本周五郎 「藪落し」
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