...炉の中には櫟(くぬぎ)の根つこが一つ...
芥川龍之介 「一塊の土」
...武蔵野(むさしの)の一角らしい櫟(くぬぎ)の林も現われた...
有島武郎 「或る女」
...黄葉した櫟(くぬぎ)がほどよくそれにまじわっている...
伊藤左千夫 「河口湖」
...甲虫のいる櫟林(くぬぎばやし)はもうそこに見えている...
海野十三 「地球盗難」
...支那の周櫟園の父はなかなかの洒落者で...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...櫟(くぬぎ)の並木の向こうを通って...
田山花袋 「少女病」
...櫟の林は此の狹く連つて居る田と鬼怒川との間をつないで横につゞいてをる...
長塚節 「寫生斷片」
...岡の畑は向へいくらか傾斜をなしてをるので中央に立つて見ると櫟の林は半隱れて低い土手のやうに連つて見える...
長塚節 「寫生斷片」
...彼(かれ)は漸(やうや)く林相(りんさう)を形(かたち)づくつて來(き)た櫟林(くぬぎばやし)に沿(そ)うて田圃(たんぼ)を越(こ)えて走(はし)つた...
長塚節 「土」
...いつて見れば春といふ季節は櫟林と何等の交渉もない...
長塚節 「隣室の客」
...F君に誘はれるとわたしはあの櫟林を思ひ出し...
牧野信一 「湖の夢」
...その樗はいわゆる「樗櫟之材(ちょれきのざい)」で...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...村岡櫟斎(れきさい)翁の『甲信紀程』に軽井沢は涸渓(かれさわ)の義ならんとあり...
柳田國男 「地名の研究」
...かんば沢の櫟林(くぬぎばやし)の中に彼をみつけだした...
山本周五郎 「藪落し」
...櫟林の梢を払ってひゅうひゅうと鳴っていた...
山本周五郎 「夜明けの辻」
...あたりに鬱蒼と立罩(たちこ)める松、杉、櫟、桜、そのほか様々な木々は、それぞれに思いのままに幹を伸ばし、枝を張り、葉をつけて空を覆っていた...
蘭郁二郎 「植物人間」
...櫟はまた梅が咲くといふのにも枯葉を落さないで...
若山牧水 「樹木とその葉」
...櫟の枝や葉で葺いた小屋からは頻りにそれが漏り始めたが...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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