...大きい橡(とち)の木が一本...
芥川龍之介 「河童」
...又駒(こま)が岳(たけ)の麓(ふもと)大湯村と橡尾(とちを)村の間を流るゝ渓(たに)川を佐奈志(さなし)川といふ...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...本堂の橡(えん)の下に隠してある...
関根黙庵 「枯尾花」
...其髪を室屋の橡毎に結び着けしとの一条は...
高木敏雄 「比較神話学」
...大湯と橡尾又(とちおまた)の二温泉があるから...
高頭仁兵衛 「平ヶ岳登攀記」
...夕刻に橡尾又の自在舘へ投宿した...
高頭仁兵衛 「平ヶ岳登攀記」
...大学講堂の裏の橡の小森(カスタニーンウェルドシェン)をぬけて一町くらいのゲオルゲン街の一区劃に地理教室と海洋博物館とが同居していた...
寺田寅彦 「ベルリン大学(1909-1910)」
...橡(とち)の木の間にきらめく燈火車のゆきき人のかげ...
永井壮吉 「偏奇館吟草」
...橡の葉は既にいくらか黄ばんで居るので林は急にからつとして來た...
長塚節 「鉛筆日抄」
...橡の林を出た...
長塚節 「鉛筆日抄」
...落葉に拾ふ橡の實を、碓にくだきて澤にひて、七たび造りぬ、橡の味噌...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...しかし例の橡(とち)転ばしの濁み声が前触れで...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...山路は岩も隠れるまで、桂はもとより、もみじも待たで散り初(そ)める、種々のかえでや朴、橡、楢などのひろ葉で埋められてゆく...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...其處から橡の林の中にはひり込んでゐる...
堀辰雄 「巣立ち」
...今は橡栗(どんぐり)の背競(せいくら)べになって...
森鴎外 「阿部一族」
...これは専門の説文(せつもん)学者を煩わすべき問題であるが、何でも今日我々が「ハハソ」と訓む柞の字、「トチ」と訓む栩の字、杼の字、橡の字、「クヌギ」と訓む櫪の字、時としては「イチイ」と訓む櫟の字等は、すべてその本義は一定の樹種の名ではなくて柴・薪などと同じく燃料ということであったらしい...
柳田國男 「地名の研究」
...黒ずんだ幹の行儀よく並んだ橡樹(マロニエ)の蔭を朝踏む気持は身が緊(しま)る様だ...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...橡谷山(とちだにやま)方面にあるは...
吉川英治 「新書太閤記」
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