...尤(もつと)も、大饗に等しいと云つても昔の事だから、品数の多い割りに碌な物はない、餅、伏菟(ふと)、蒸鮑(むしあはび)、干鳥(ほしどり)、宇治の氷魚(ひを)、近江(あふみ)の鮒(ふな)、鯛の楚割(すはやり)、鮭の内子(こごもり)、焼蛸(やきだこ)、大海老(おほえび)、大柑子(おほかうじ)、小柑子、橘、串柿などの類(たぐひ)である...
芥川龍之介 「芋粥」
...右近の橘(たちばな)を...
芥川龍之介 「雛」
...何所(どこ)へまいるにもいつも命(みこと)の御随伴(おとも)をした橘姫(たちばなひめ)がそう申(もう)されることでございますから...
浅野和三郎 「霊界通信 小桜姫物語」
...橘屋円太郎といふ噺家があつて...
談洲楼燕枝(二代) 「燕枝芸談」
...マンゴーや柑橘類が季節的であるのに反して...
豊島与志雄 「台湾の姿態」
...帝都劇場の橘(たちばな)久美子よ――あの人はドジだから心配よ...
野村胡堂 「踊る美人像」
...九月十三夜に月めでんとて、したしき人々集ひて歌よみけるついでによめるこほろぎの鳴やあがたの我宿に月かげ清しとふ人もかな縣居のちふの露はらかきわけて月見に成つる都人かな野わきしてあがたの宿はあれにけり月見にこよと誰に告まし本居宣長、橘千蔭、平春海もこの縣居へ訪れもしたであらう...
長谷川時雨 「花火と大川端」
...橘、折戸の外に寄り添いながら手紙を読んでいる様子、あるいは手紙を読みながら折戸にもたれかかる様子...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...松王、おもむろに進みきて座敷牢の簾を切って落とせば、灯火を傍らに橘、縛られたまま座っている状態...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...橘を門外へ押し出して門を閉める...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...包帯して女房も一緒で橘のとこへ行く...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...今夏大仁のホテルで橘が撮った八ミリを見せて貰ふ...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...まず橘之助の歌いようをげさくな味感にでっちたものでともに至宝だと感嘆される...
正岡容 「随筆 寄席風俗」
...最後に橘(たちばなの)曙覧の『志濃夫廼舎(しのぶのや)歌集』を見て始めてその尋常の歌集に非ざるを知る...
正岡子規 「曙覧の歌」
...日というものがこんなに佳(よ)く橘に人事(ひとごと)でなく存在していることが...
室生犀星 「姫たちばな」
...その眼附(めつき)はどちらも橘を自分のものにするためには...
室生犀星 「姫たちばな」
...日本人は源平藤橘等の姓が少ないために...
柳田國男 「地名の研究」
...「お館様」「――お出ましです」橘の坪の静かな屋の内に...
吉川英治 「新書太閤記」
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