...この老人は、本所横網に棲む、ある売薬店の隠居なるが、曾(かつ)て二三の釣師の、此老人の釣狂を噂するを聴きたることありし...
石井研堂 「釣好隠居の懺悔」
...お蔭で大蛇(おろち)はその頃から棲む家(うち)が無くなつてしまつた...
薄田泣菫 「茶話」
...隱れ棲む場所といふ風があつた...
スティーヴンスン 佐藤緑葉訳 「帽子箱の話」
...「エリマントス」山上に棲む...
高木敏雄 「比較神話学」
...女房のふところには鬼が棲(す)むかあああ蛇(じゃ)が棲むかとかいうような悲歎には...
太宰治 「おさん」
...山奥に棲む蟒(うわばみ)のように...
谷崎潤一郎 「二人の稚児」
...結局この矢立の杉あたりに棲む天狗の仕業(しわざ)という里人の迷信を打消しもせずに出て来たものでありました...
中里介山 「大菩薩峠」
...彼らは土地の内部に深く棲むものである...
中島敦 「狼疾記」
...この古代魚の名残りが棲むには...
中谷宇吉郎 「異魚」
...大きな大きな家に棲むよ...
原民喜 「火の子供」
...あの部屋に棲む悪霊があいつの頭へ死の観念を注ぎ込むにきまっているのだ...
牧逸馬 「ロウモン街の自殺ホテル」
...右のごとく教示やら調査やらで気が付き当田辺湾諸村人に質(ただ)すと諸所で夏日海底から引き揚げて石灰に焼く菊銘石(きくめいいし)の穴に一尺から一間ほど長い海蜈蚣が棲むと聞いて前祝いに五...
南方熊楠 「十二支考」
...赤藪鶏と近く棲む所では間種を生ずれど...
南方熊楠 「十二支考」
...城辺に棲む蛇来て児を嚥(の)まんとすると...
南方熊楠 「十二支考」
...知らぬ間に鳴らさむとして覺られて笹紅匂ふ唇にふたゝび珠を返せしも人故妻を逐はれて知るは二人の涙のみ(羨ましきは羽すりて雌雄共に棲む白鳥よ)美しき物...
横瀬夜雨 「花守」
...愚者を建造してその中に棲むだけだと云った人もある...
横光利一 「夜の靴」
...「青年馬上に棲む」といつた氣持...
吉川英治 「折々の記」
...ここに棲む幽霊が酒好きでないことも確かにわかったが...
リットン Edward George Earle Bulwer-Lytton 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
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