...このうす暗い八畳の間(ま)は大抵森閑として人気(ひとけ)がなかった...
芥川龍之介 「疑惑」
...物言はぬ人のみ住んでゐるかとばかり森閑としてゐる秋の真昼の山村の空気を揺がして...
石川啄木 「道」
...室内は全く森閑とした...
魯迅 井上紅梅訳 「明日」
...曇天の背景に魔者の如く森閑と眠って居る...
谷崎潤一郎 「少年」
...そこは両側に大きな別荘の並んでいる、森閑とした、夜は人通りの少い街で、いい塩梅(あんばい)にそう明るくはありませんでした...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...殊に森閑とした裏庭で...
外村繁 「澪標」
...此(この)辺は森閑として人の気配もありません...
野村胡堂 「踊る美人像」
...森閑として動かない...
林芙美子 「浮雲」
...四圍は森閑として...
林芙美子 「なぐさめ」
...森閑として昼でもうす暗く...
久生十蘭 「金狼」
...場内は森閑としてゐた...
牧野信一 「公園へ行く道」
...」と叫びました、森閑とした森に、その声が真に山彦の精に似て鳴り渡りました...
牧野信一 「祝福された星の歌」
...小屋は森閑と静まり返っていた...
松濤明 「春の遠山入り」
...森閑とした墓地径を二人は黙って歩いている...
矢田津世子 「神楽坂」
...すると小男は、俺はな、あそこの酒屋に借りがあるんだと言いざま、僕と六さんとの間に割り込み、しばらくは肩をすぼめ、森閑としていた...
山之口貘 「ダルマ船日記」
...そのあとはまた森閑と鎮まった...
山本周五郎 「めおと蝶」
...その小走りの跫音(あしおと)が聞えなくなると室(へや)の中が急に森閑となった...
夢野久作 「暗黒公使」
...朝からあたりは森閑としてゐて...
横光利一 「榛名」
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