...戸袋と向合った壁に、棚を釣って、香水、香油、白粉(おしろい)の類(たぐい)、花瓶まじりに、ブラッシ、櫛などを並べて、洋式の化粧の間と見えるが、要するに、開き戸の押入を抜いて、造作を直して、壁を塗替えたものらしい...
泉鏡花 「婦系図」
...尤も数多い図書館の管理者には、書棚に樟脳や、ナフタリンをちよつぴり包んで、それで結構消毒の目的は達せられてゐるやうに思つてゐる向(むき)もあるが、そんな事では消毒にも何(なん)にもならない...
薄田泣菫 「茶話」
...乱暴に鞄を棚におしあげて...
リチャード・オースティン・フリーマン Richard Austin Freeman 妹尾韶夫訳 「オスカー・ブロズキー事件」
...藤棚(ふじだな)の下のベンチに並んで腰をおろした...
太宰治 「斜陽」
...仕方なく、アンブレラとお道具を、網棚に乗せ、私は吊り革にぶらさがって、いつもの通り、雑誌を読もうと、パラパラ片手でペエジを繰っているうちに、ひょんな事を思った...
太宰治 「女生徒」
...神棚に飾ってある種々のお礼のなかには...
徳田秋声 「黴」
...お久の実母だったが――いつも命より神棚の方を大事にしてるかのようだった...
豊島与志雄 「神棚」
...正面の酒賣棚の右手の壁に掛かつた六角時計を見ると...
南部修太郎 「ハルピンの一夜」
...丹精甲斐のありそうもない植木棚を眺めて...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...天の一方に吹寄せられてゐる棚雲に三日月が懸つてゐて...
原民喜 「氷花」
...床脇(とこわき)の棚を壊して...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...そして寝棚(レジャンカ)には……...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...……彼は書棚のうちにふと一册の本の表題――ジョルジュ・サンドの「フランソワ・ル・シャンピ」を見つける...
堀辰雄 「續プルウスト雜記」
...書棚の中から一冊の本を取出しました...
牧野信一 「青白き公園」
...たゞ葡萄棚だけが繁りに繁ツて...
三島霜川 「昔の女」
...もとの通りに片付けると今度は隣り側の襖を開いて内部一面に切り組んである衣裳棚を引き出し初めた...
夢野久作 「あやかしの鼓」
...平生持歩く七つ道具は彼(か)の棚と此(この)卓とに一定して置かれてあるので...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...本能寺の惣門から甍(いらか)にまで棚曳(たなび)いているのは事実である...
吉川英治 「新書太閤記」
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