...芝生(しばふ)のはずれには棕櫚(しゅろ)の木のかげに...
芥川龍之介 「白」
...ただ高い棕櫚(しゅろ)の木の梢(こずえ)に白い月が一輪浮んでいるだけです...
芥川龍之介 「白」
...芥川の腦神經は棕梠の葉つぱの裂けたやうなものだと思ひながら...
小穴隆一 「二つの繪」
...私は芥川が山吹、棕櫚の葉に、等等の詩稿をみせながらあれこれなほしてゐたことや、アンテナといふことをいつてゐたのを思ひだす...
小穴隆一 「二つの繪」
...烏は羽搏いて他の簇出してゐる棕梠の葉の間から大空へ逃げて行かうとする処であつた...
高浜虚子 「発行所の庭木」
...謙作は右の板の間の端(はし)についた棕櫚(しゅろ)の毛の泥拭(どろぬぐ)いで靴の泥を念入りに拭ってからゆっくりと階段をあがって往った...
田中貢太郎 「港の妖婦」
...私自身が綯うた棕梠縄である...
種田山頭火 「其中日記」
...それに丸竹を棕櫚縄で結びつけたもので...
豊島与志雄 「絶縁体」
...勘定場の両側の大きな棕櫚竹...
豊島与志雄 「月かげ」
...世の中はどうでも勝手に棕梠箒(しゅろぼうき)...
永井荷風 「日和下駄」
...眞垣なる、棕櫚がもと、眞木を積む、朶を積む、楢の木、櫟の木、そね、どろぶの木、くさぐさの、雜木も積むと、いちじくの、冬木の枝は、押し撓めて見えず...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...棕呂箒(しゅろぼうき)のような頭を指で掻(か)き上げながら...
野村胡堂 「水中の宮殿」
...または棕櫚(しゅろ)の幹...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...棕梠繩で十文字に括つた石を四個置いてあつたが...
室生犀星 「京洛日記」
...あなたのために成功の棕櫚(しゅろ)を取りましたでしょう...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...庭を掃(は)く棕櫚帚(しゅろぼうき)などに至るまで...
柳宗悦 「手仕事の日本」
...そこでこの「三吉乗ったか昔のくち合」に対し、棕隠らしいが、「文吉、すえたか(季鷹)今のつき合」と、文吉と季鷹とを読みこんで詠んだ...
柳田国男 「故郷七十年」
...小雨の降る居酒屋の表口に合羽(かっぱ)包みの荷を卸(おろ)した一人の棕梠箒売(しゅろぼうきうり)が在る...
夢野久作 「近世快人伝」
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