...×家々の屋根や松の梢(こずゑ)に西日の残つてゐる夕がただつた...
芥川龍之介 「O君の新秋」
...松林にまじっている冬木が幾分の落葉を残していてほんのりとした梢の趣がその空の色と調和がよい 油絵が出来たらなアと思う...
伊藤左千夫 「八幡の森」
...医学書にある神経図に似た梢が俄(にわか)にゆらゆらと動いた...
梅崎春生 「風宴」
...全身の末梢神経が躍(おど)っているような云い方であった...
江戸川乱歩 「殺人迷路」
...葉の落ちた高い梢の上の電燈が...
妹尾韶夫 「凍るアラベスク」
...統制の厳(きび)しさ細かさを生活の末梢(まっしょう)にまで反映して...
徳田秋声 「縮図」
...庭の木々の梢に、あちらこちらに、美事な大きな巣が張られていて、その真中に女郎蜘蛛が一匹ずつ、逆さにじっと構えこんで、背と腹の金筋を朝日に輝かしているのである...
豊島与志雄 「蜘蛛」
...梢から洩れ落ちてるらしい点々とした月の光が...
豊島与志雄 「道連」
...いずれも新緑の色鮮(あざやか)なる梢(こずえ)に...
永井荷風 「日和下駄」
...只(たゞ)遙(はるか)に隔(へだ)つた村落(むら)の木立(こだち)の梢(こずゑ)から騰(のぼ)る炊煙(すゐえん)が冴(さ)えた冷(つめ)たい空(そら)に吸(す)ひこまれて居(ゐ)るのみで...
長塚節 「土」
...影のやうに神経の末梢をかすめて行つた...
萩原朔太郎 「月に吠える」
...一人(ひとり)窓の外の花の咲(さ)いた桐(きり)の梢(こずえ)を見上げた...
林芙美子 「魚の序文」
...鬱蒼(うっそう)として頭の上に茂った椎の木の梢で...
平山蘆江 「怪談」
...下手にはときわ木の梢が軒を覆って生い茂り...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...それが森の梢に陰々と反響した...
牧野信一 「出発」
...畑のむこうの杉林の梢のところが黒々と瀧子の白地に朝顔を出した浴衣の肩のあたりを横切ってうつっていて...
「鏡の中の月」
...裸の梢をふるわせている銀杏の方を指さす...
山川方夫 「その一年」
...架けられた喬木の梢のうえを...
吉川英治 「親鸞」
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