...御庭の木々の梢にさつと通ふ――と誰でも...
芥川龍之介 「地獄變」
...やがて梢(こずえ)の方(ほう)で...
浅野和三郎 「霊界通信 小桜姫物語」
...強弩(きやうど)の末と言はぬばかりの風が割合に静かに大きな樹の梢の葉を吹いてゐた...
田山録弥 「くづれた土手」
...末梢の変化から根原の変化を推測することのできる場合も少なくないはずである...
寺田寅彦 「破片」
...隙間もない茂りの緑は霜にややさびて得(え)も云われぬ色彩が梢から梢へと柔らかに移り変っている...
寺田寅彦 「森の絵」
...門内の松の梢にも...
徳田秋聲 「或売笑婦の話」
...クリティシズムのそういう否定機能の市井に於けるごく末梢的な形なのだ...
戸坂潤 「クリティシズムと認識論との関係」
...夫が末梢神経に随喜するように見えた新感覚派として出発を始めたと云われるのは甚だ尤もであった...
戸坂潤 「思想としての文学」
...その樹々の梢の方だけが宙に浮いて...
豊島与志雄 「春」
...黄ばんだ梢(こずえ)は動(ゆる)ぐとも見えぬ先に一葉(ひとは)二葉(ふたは)がはらはら落ちる...
夏目漱石 「野分」
...その梢部に緑葉ある芽を生ずる特性があるが...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...梢に黄色の小さい頭状花がビッシリ固まって着く...
牧野富太郎 「植物記」
...一本の実に美しい樹の梢があるのよ...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...いや走る大地の草も空の梢も火となっている...
吉川英治 「三国志」
...スルスルと梢(こずえ)の空へまきあげられていく...
吉川英治 「神州天馬侠」
...幾百年も経たような杉の梢(こずえ)が...
吉川英治 「親鸞」
...先頃まで博物館の特別陳列室に出陳されていた重要文化財「枯木鳴鵙図(こぼくめいげきず)」の一梢頭(いちしょうとう)に描かれている鵙(もず)の姿から...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
...松の枝は幹から横に出ていて、強い弾力をもって上下左右に揺れるのであるが、欅の枝は幹に添うて上向きに出ているので、梢の方へ行くと、どれが幹、どれが枝とは言えないようなふうに、つまり箒(ほうき)のような形に枝が分かれていることになる...
和辻哲郎 「松風の音」
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