...ながながし梔子(くちなし)の光さす入日たゆたふ...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...濕める梔子(くちなし)の別れのゆふべ泣き濡れしあえかの胸に...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...濕(し)める梔子(くちなし)の...
薄田淳介 「白羊宮」
...黒焦げになった屍体は梔子(くちなし)の花散るウベニア丘の墓地に...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...甘酸っぱい梔子(くちなし)の匂いが雨に打たれて...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...山梔の実の乾したのは...
谷崎潤一郎 「文房具漫談」
...髪は揚巻(あげまき)に山梔(くちなし)の花一輪...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...または植込のかげの梔子(くちなし)の実に...
永井荷風 「写況雑記」
...五眞木伐りて、炭は燒く、炭燒くは、櫟こそよき、梔を、つゝき破りて、染汁に、染めけむごと、伐り口の、色ばみ行く、眞木こそよき、櫟こそよき...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...麻布市兵衛町なるわが石田家の庭は、『名園図鑑』にも載った風雅な茶庭で、小径づくりの飛石のそこここに、鉄線、うずら梅、馬酔木、どうだん、山茶花などのつくりものを目だたぬように植えこみ、藪蔭の思いがけないところに、梔子や橘の蕾が、明日あたりは咲く、ゆたかなふくらみを見せていたりする...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...山梔子(くちなし)孃の手紙に貴方が身體の弱いのに無理ばかりしてゐるといつて氣づかつて來ましたが...
堀辰雄 「七つの手紙」
...一人が山梔子色(くちなしいろ)の狩衣をつけていれば...
室生犀星 「姫たちばな」
...隅が枯れた梔子(くちなし)の花びらのような色になり捲くれている...
山川方夫 「演技の果て」
...「その山梔子の樹は名前を『口なし』と書くので...
夢野久作 「オシャベリ姫」
...一面に咲揃うた白い山梔木の花が...
夢野久作 「巡査辞職」
...あはれこの梔花色(くちなしいろ)の明りこそ咲く花の如(ごと)き命を包む想像の狭霧(さぎり)なれ...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...其処(そこ)でバクレツと云ふ樹(き)の梔(くちなし)の様な花の匂(にほひ)の高いのを嗅ぎ...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...――山梔子(くちなし)の実を噛ませると吐く...
吉川英治 「河豚」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??