...桜時なり、三社の祭りなり、賑い言わん方なしといえば、携え来りし着替を出し、独り夕方より観音へ参詣し、夜に入り蕎麦店へ入りて京味を試み、ゆらりゆらりと立帰りしところ、裏のうち騒がしく「さても胆太き者どもかな」と口々に言う...
饗庭篁村 「良夜」
...出雲守が、供が草履を持って来るのを、待っていると「辞世じゃ思ふことまだ及ばぬに消ゆるとも心ばかりは今朝の白雪出雲、桜時じゃに、雪がちらちらして参った...
直木三十五 「南国太平記」
...折柄桜時故ニ風景モ一入(ひとしお)ヨク...
中里介山 「大菩薩峠」
...「桜時はこれだから厭ね……」一つの腰掛けをやっとみつけると...
林芙美子 「新版 放浪記」
...」雪子は、桜時分になると、斯んなにも大きな雪洞が沢山並んで、そこの夜桜といふのは昔からの名物だから、今年は一緒に行つて見ませうか――などといふことを述べながら、また二階へ上つて行つた...
牧野信一 「熱い風」
...此はその再出演の姥桜時代を詠んだものと見える...
正岡容 「大正東京錦絵」
...盛りの短い桜時には...
正宗白鳥 「花より団子」
...私は例年桜時分が苦しいのだけれども...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...花も散り牡丹畑もない葉桜時のこの山へ...
吉川英治 「剣難女難」
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