...案に相違していやな山だったら...
石川欣一 「可愛い山」
...中へはいってみると案に相違して何もこれというほどの観ごたえのあるものがなかった...
上村松園 「余齢初旅」
...しかし帳場では案に相違して...
海野十三 「蠅男」
......
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...私はお馴染になるまでにはもう五六遍も跳ねるつもりでゐたのが案に相違して顔が赤くなつたけれど「ええ」といつてそばへいつた...
中勘助 「銀の匙」
...さうしたらおちやんはさも軽蔑したらしく「びりつこけなんぞと遊ばない」といつてさつさとはひつてしまつたので案に相違してすごすご家へ帰り伯母さんにそれをいつけた...
中勘助 「銀の匙」
...ところが、案に相違して、なかなか前途から、心得のありそうな奴が飛び出して取抑えてくれそうもなし、何かこの奔馬をして、行きつまらせるところの障碍物といったようなものも容易にないのであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...これは、てっきり、こちとらと目的を同じうした東西のお歴々、壺振、中盆(なかぼん)、用心棒、の一隊と見て取って、直ちに諒解があって、玄関へ通されるか、裏手へ廻されるか、こっちの方もそれに準じてと、固唾(かたず)を呑んでいると、案に相違して、かくの如く、献上物を捧げっぱなしにしたままで、さっさともと来た道へ帰ってしまう...
中里介山 「大菩薩峠」
...ところが案に相違して...
夏目漱石 「坑夫」
...座に着いたお秀が案に相違していつもより愛嬌(あいきょう)の好い挨拶(あいさつ)をした時には...
夏目漱石 「明暗」
...彼は明日にも、『さあ、これを持って行って、鱈腹のんだり、楽しんだりしろ』ってんで、何千という大金が貰えると思っていたのに、案に相違して、ただ待てというだけで、時期の指定もしてくれないという訳なんです...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...試験に試験を重ねたタンクが、とつぜん戦線に驚異的に出現して、あの、前世紀動物のような、怪物的な鋼鉄製の巨体をゆるがせて猪突(ちょとつ)した時、案に相違して、ドイツ方はあまり愕(おどろ)かなかった...
牧逸馬 「戦雲を駆る女怪」
...……ですから卒業論文なぞも無論、その頃まで学術用語と称せられていた独逸(ドイツ)語で書かれている事と期待されておりましたのに、案に相違して、その頃まではまだ普及されていなかった言文一致体の、しかも、俗語や方言混(まじ)りで書いてあるのでした...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...なにを言うんでえ!」案に相違して...
吉川英治 「剣難女難」
...どんな問罪を受けるかと、覚悟してきて見ると、案に相違して、黄金十斤(きん)、錦二十匹を賜わった上、董卓の口から、「きのうは、病のせいか、癇癖(かんぺき)を起して、そちを罵(ののし)ったが、わしは何ものよりも、そちを力にしておるのだ...
吉川英治 「三国志」
...硬直しているものと描いていた高氏とは案に相違していたので...
吉川英治 「私本太平記」
...すると案に相違して...
吉川英治 「新書太閤記」
...母が助太刀して取らす、負くるな」――窓口から待てという言葉だったので、武蔵は必ずや老母がこれへ来て、額(ひたい)を地にすりつけて、わが子の助命を乞うのかと思っていたところ、案に相違して、九死一生の淵にある息子を励まし、なお戦おうというつもりらしい...
吉川英治 「宮本武蔵」
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