...案に相違していやな山だったら...
石川欣一 「可愛い山」
...案に相違して極めて平板な不徹底な家常茶飯的葛藤しか描かれていなかったのは畢竟(ひっきょう)作者の根本の芸術的興味が去ってしまったからであろう...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...しかし帳場では案に相違して...
海野十三 「蠅男」
...それは、案に相違して、林田でも、又他の同志でもなく、全く知らない中国人の顔だった...
海野十三 「人造人間殺害事件」
...庸三は勝手元の廊下にある梯子段(はしごだん)を上り、荷物の散らかっている上がり口の三畳を突っ切って、いきなり部屋へ躍(おど)り込んでみたが、案に相違して、そこには瑠美子と北山がいるだけで、清川の姿も葉子も見えなかった...
徳田秋声 「仮装人物」
...ヴェリチャーニノフは案に相違して...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...私はお馴染になるまでにはもう五六遍も跳ねるつもりでゐたのが案に相違して顔が赤くなつたけれど「ええ」といつてそばへいつた...
中勘助 「銀の匙」
...ところが、案に相違して、なかなか前途から、心得のありそうな奴が飛び出して取抑えてくれそうもなし、何かこの奔馬をして、行きつまらせるところの障碍物といったようなものも容易にないのであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...棚卸しにできたる損益平均の表を見れば案に相違して損亡なることあり...
福沢諭吉 「学問のすすめ」
...試験に試験を重ねたタンクが、とつぜん戦線に驚異的に出現して、あの、前世紀動物のような、怪物的な鋼鉄製の巨体をゆるがせて猪突(ちょとつ)した時、案に相違して、ドイツ方はあまり愕(おどろ)かなかった...
牧逸馬 「戦雲を駆る女怪」
...新米の古賀氏は何の「箙」ぐらいと思っていたのに案に相違して震え上った...
夢野久作 「梅津只圓翁伝」
...これが又案に相違して...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...それまで、逃げ足立っていた敵が、案に相違して、張飛と共に、俄然攻勢に転じてきたので、要心深い劉岱は、「これは怪訝(いぶか)しい」とあわてて、味方の陣門へ引っ返そうとしたところ、時すでに遅かった...
吉川英治 「三国志」
...硬直しているものと描いていた高氏とは案に相違していたので...
吉川英治 「私本太平記」
...またとない聟(むこ)だろうが)と、寧子に告げると、彼女の顔いろは、案に相違して、少しも楽しまないふうだった...
吉川英治 「新書太閤記」
...すると案に相違して...
吉川英治 「新書太閤記」
...彼に会ってみるまでは、明石勘次郎もその兄の飛騨守景親も、(秀吉の師たりまた、世に聞ゆる神算鬼謀(しんさんきぼう)の士、どんな策を構え、どんな雄弁をふるって、われを説かんとするか?)と待っていたらしいが、会談してみると、案に相違して、平凡淡々何のけれんも手くだもない人物であることが分った...
吉川英治 「新書太閤記」
...よくよく調べてみると、案に相違して、使者は馘(くびき)られてしまったということがわかった...
吉川英治 「新書太閤記」
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