...その生垣の根方には黒い煉瓦を築いてあったが...
田中貢太郎 「変災序記」
...宇治山田の米友は、こうして、しばらく空をながめて突立っていましたが、なんとなく名状し難い、一種の空虚な感じが頭の中にわいて来て、たまらなくなったものと見え、松の根方に、またも二度三度、じだんだを踏んで、「ばかにしてやがら」と言いました...
中里介山 「大菩薩峠」
...この館(やかた)の例の松の大木の根方に彳(たたず)んで...
中里介山 「大菩薩峠」
...そこで、立聞きをしていた人も、存外いらいらした気分も見せないで、おとなしく会話と討論の酣わなるを聞き流していたが、その会話と討論は、いよいよ酣わになるばっかりで、いつ果てるとも見えないものですから、その点に於て辛抱なり難いものの如く、松の根方から、また静かに身を動かして、南庭から西の軒場へ歩み去る姿を見ると、それは覆面の姿であります...
中里介山 「大菩薩峠」
...その根方へしみ込んではあふれ...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...灰色(はいいろ)の幹(みき)の根方(ねがた)に...
夏目漱石 「それから」
...灰色の幹の根方に...
夏目漱石 「それから」
...踏み荒した桜の根方に...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...何とかいう旅館の塀の前あたりの柳の根方に...
長谷川伸 「幽霊を見る人を見る」
...人気(ひとけ)のないはずの松の根方(ねかた)から矢庭(やにわ)に駈け出した一人...
久生十蘭 「平賀源内捕物帳」
...そう言った風の田畑が丘の根方まで...
柳田國男 「地名の研究」
...稚松(わかまつ)の根方へ御埋没あり次第御帰還の取計可仕(とりはからいつかまつるべく)...
山下利三郎 「誘拐者」
...とある大きな木の根方に坐りますと...
夢野久作 「押絵の奇蹟」
...それはマン丸く茂った山梔木(くちなし)の根方の...
夢野久作 「巡査辞職」
...わたしはそなたの根方(ねがた)に葬られて...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...大きな松の根方を...
吉川英治 「新書太閤記」
...「そうだ、なるほど」斧(おの)をひっさげた二人の者が、根方へ寄って、がつんと刃(やいば)を入れた...
吉川英治 「親鸞」
...樹の根方へ押しやッた...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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