...今度からだが痛む病気になって臥床(がしょう)したまま来客に接するのにあまり不体裁だというので絹の柔らかいのを用いることにした...
寺田寅彦 「柿の種」
...そうして東京みやげの「江戸絵」を染めたアニリン色素のなまなましい彩色がまだ柔らかい網膜を残忍にただらせていたころの事である...
寺田寅彦 「青衣童女像」
...(明治四十一年六月二日『東京朝日新聞』)八十四柔能く剛を制す比較的に柔らかい鋼鉄の円板を急速度に廻転させ...
寺田寅彦 「話の種」
...母の柔らかい言葉のうちにひしひし胸に突き当たるものが感じられ...
徳田秋声 「縮図」
...何か若草のような柔らかい心の持主で...
徳田秋声 「縮図」
...半身像の柔らかい台から脱するため両肱(りょうひじ)に身をささえ...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...イタリー風の柔らかい甘い音なのも面白い比較である...
野村胡堂 「楽聖物語」
...「陰の方は柔らかいぞ...
H・ビーム・パイパー H. Beam Piper The Creative CAT 訳 「最愛の君」
...かれらはたやすくその柔らかい生命にそのよい力をうけるものです...
羽仁もと子 「おさなごを発見せよ」
...相手の思想は角面堡の柔らかい土に吸い込まれた弾丸のように死んでしまうのだった...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...再び柔らかい光の海中に立った...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「幽霊島」
...柔らかい光が古い家具や絵画を照らし...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「煉獄」
...その柔らかいふうにふと昔の夕顔が思い出されて...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...柔らかい印象をあたえた...
室生犀星 「津の国人」
...俳句はそのやうに平明でそして何処かに柔らかい厳格さをも髣髴させてゐるのである...
室生犀星 「俳句は老人文学ではない」
...彼はその柔らかい感触に...
蘭郁二郎 「夢鬼」
...冷たい柔らかい手がわたしの喉(のど)をなでるように感じたこともあった...
リットン Edward George Earle Bulwer-Lytton 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...面長(おもなが)な柔らかい横顔にも...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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