...即ち天地を祀る祭器としての銅器や、装身具としての玉器や、仏教の偶像だけしか無かつた支那美術の畠に、それこそ本統に人間らしい、柔らかい感じの、気のおけない人間生活の彫刻が現はれたわけである...
會津八一 「支那の明器」
...ねんごろにもてなす婦人の柔らかい絹ずれの音にも...
岡倉覚三 村岡博訳 「茶の本」
...上に述べた溢れ防止路は底が無いかまたは底が柔らかいので棒を突き刺すことができた...
ジョン・スノウ John Snow 水上茂樹訳 「コレラの伝染様式について」
...そのほかのここにある破片は、みな柔らかい、荒い、お粗末きわまるガラスで、ぴかぴかする固い光学ガラスとは、似てもつかないガラスばかりなんだ...
リチャード・オースティン・フリーマン Richard Austin Freeman 妹尾韶夫訳 「オスカー・ブロズキー事件」
...やはり鋭いものの中に柔らかい甘みがある...
寺田寅彦 「昭和二年の二科会と美術院」
...亮のような柔らかい心臓と彼のような透明な脳とを同時にもって生まれるという事は...
寺田寅彦 「亮の追憶」
...母の柔らかい言葉のうちにひしひし胸に突き当たるものが感じられ...
徳田秋声 「縮図」
...そして精神のうちにさわやかな柔らかい潤(うるお)いを生じさして...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...島原へ――指したその手は細く柔らかい手でしたが...
中里介山 「大菩薩峠」
...どこか親しみのある線の柔らかい自然である...
萩原朔太郎 「石段上りの街」
...古面の方は眼が糸目なので――開いても柔らかいであろうが――おおかめさんは...
長谷川時雨 「鉄くそぶとり」
...暖かそうな柔らかい...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...気持ちの柔らかい一方な人は世間のこともわからず...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...柔らかい生白い、たえずろくろのように廻っているような首すじ、その喉笛のしたにぽっちりついた傷が男には忌わしい妄念を駆(か)らせたのであった...
室生犀星 「香爐を盗む」
...柔らかい恰好をして握られると...
室生犀星 「性に眼覚める頃」
...柔らかい印象をあたえた...
室生犀星 「津の国人」
...飼糧(かいりょう)によさそうな柔らかい穂や芝草がいちめんに山肌をつつんでいる...
吉川英治 「新書太閤記」
...柔らかい草は彼女のものである...
ルナール Jules Renard 岸田国士訳 「博物誌」
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