...そのへんの枯れ草を集めて...
江戸川乱歩 「怪人二十面相」
...それより用意の枯れ草へ火をつける手はずになっておりました...
谷崎潤一郎 「盲目物語」
...海岸の平らな荒蕪地の先に枯れ草の生ひ茂つた防波堤が長くつゞいて...
近松秋江 「初雪」
...黄ろくからびた刈科(かりかぶ)をわたッて烈しく吹きつける野分(のわき)に催されて、そりかえッた細かな落ち葉があわただしく起き上り、林に沿うた往来を横ぎって、自分の側を駈け通ッた、のらに向いて壁のようにたつ林の一面はすべてざわざわざわつき、細末の玉の屑を散らしたように、煌(かがや)きはしないが、ちらついていた、また枯れ草、莠(はぐさ)、藁(わら)の嫌いなくそこら一面にからみついた蜘蛛の巣は風に吹き靡(なび)かされて波たッていた...
イワン・ツルゲーネフ Ivan Turgenev 二葉亭四迷訳 「あいびき」
...空地(あきち)と云っては畑の中程に瘠(や)せこけた桑樹と枯れ茅(かや)枯れ草の生えたわずか一畝に足らぬ位のものであった...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...壁の頂にはえてる少しの枯れ草を風が吹いて...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...小僧は懐(ふところ)から燧石(ひうちいし)を出して森の外の枯れ草に火を放(つ)けた...
夢野久作 「猿小僧」
...霜にうたれた枯れ草のかげに人々の姿は消えて行くのである...
本庄陸男 「石狩川」
...去年の枯れ草が剥(む)き出しになった...
本庄陸男 「石狩川」
...其のほか他の部分の血だらけの肉片なども枯れ草の間から出て来た...
牧逸馬 「双面獣」
...胡桃の果が枯れ草の上に...
水野葉舟 「北国の人」
...去年の枯れ草がひょろひょろと伸びていた...
山本周五郎 「青べか物語」
...「ウームッ……」と枯れ草の根をつかみ...
吉川英治 「江戸三国志」
...黒い溝川(どぶかわ)と、枯れ草と、霜解けとの中に、もっそう長屋の塀が、反(そ)っくり返っていた...
吉川英治 「雲霧閻魔帳」
...甚だしい不(ぶ)しつけにはございまするが」「折入っておねがいの儀がござりまして」ふたりは枯れ草の中へ面を埋めんばかりにいった...
吉川英治 「黒田如水」
...現状に不平な枯れ草が土壌いたる所にあるからだ...
吉川英治 「私本太平記」
...枯れ草を踏みわけて来る人の大小の鞘(さや)が濡れて見えた...
吉川英治 「宮本武蔵」
...枯れ草と糞(ふん)のにおいが蒸れて来るのである...
吉川英治 「宮本武蔵」
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