...腥(なまぐさ)い風を起して樹を枯らす...
泉鏡花 「海神別荘」
...かなぶんもやはり、初めは色の白い裸の、肥つた虫であつて、地の中に住んで、植物の根を食ひ、穀物を枯らす...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...「科学者というものは枝ぶりや花ばかりを気にして根を枯らすを忘れる素人(しろうと)植木屋のようなものだ...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...そのうえ銅山製煉所の煙害というものが近隣一帯の山林を枯らす...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...われわれのシャツはわれわれの内皮または真皮であってこれをはぎとれば樹皮をはがして枯らすことになり生命をそこなう...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...こっちは大迷惑な話で眺めたくもねえ植木鉢を後生大事に縁側に飾って枯らすわけにもゆかなければうっかり腕白どもにへし折らせるわけにもならず...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
...下手な植木屋が良い木を枯らす...
寺田寅彦 「スパーク」
...つまり気を枯らす気枯(けが)れということでござってな...
中里介山 「大菩薩峠」
...最初から徳川の根を枯らすことばかりやっている...
中里介山 「大菩薩峠」
...まことぞも葱は枯らす...
長塚節 「長塚節歌集 上」
...干潟日和山群夕棲み枯らす松の上に白雲棚引く濱の高岡同關田の濱こゝにして青草の岡に隱ろひし夕日はてれり沖の白帆に波越せば巖に糸掛けて落つる水落ちもあへなくに復た越ゆる波十一日...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...寒き息にて吹き枯らすは口惜し...
夏目漱石 「薤露行」
...危うくベートーヴェンに芽生えた音楽愛を枯らすところであったが...
野村胡堂 「楽聖物語」
...ショオベルはシューベルトの貧困がその伸び行く天才の芽を枯らすことを怖れて...
野村胡堂 「楽聖物語」
...汗まみれになって調理に精根を枯らす...
久生十蘭 「ノア」
...精根を枯らすような...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...射るに便せんとて右の乳房を枯らす(古ギリシア女人国話の引き写しだ)...
南方熊楠 「十二支考」
...ゐる間に植ゑかへて枯らすのは耐らなかつた...
室生犀星 「故郷を辞す」
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