...出來ない相談を持掛ける心持は「痴」の一字で盡されてゐる程果敢ないものに違ひない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...勞働に妨げられて内から湧く問題を抑へつけるから自分が果敢なくなる...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...さうして現實の中に生きて夢といふ果敢ないものを護るの努力は要するに烈風の前に裸火を護らうとするにも似た果敢ない努力である...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...この哀れ果敢なき葬列の声無く練り来るを見て...
石川啄木 「葬列」
...勇猛果敢なわが戦闘機は...
海野十三 「空襲警報」
...そこでは虚栄に満ちた人が自分の小さな果敢ない権勢をたのんで...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...助手看護兵マリが勇猛果敢な行動に打ち出て...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「緋のエチュード」
...彼に取つては果敢ない生活の振蕩にすぎなかつた...
徳田秋聲 「老苦」
...しかし私はここに不衛生なる裏町に住んでいる果敢ない人たちが今なお迷信と煎薬(せんじぐすり)とにその生命(せいめい)を托しこの世を夢と簡単にあきらめをつけている事を思えば...
永井荷風 「日和下駄」
...影なれば果敢なき姿を鏡にのみ見て不足はなかろう...
夏目漱石 「薤露行」
...果敢ないものに観じた...
夏目漱石 「こころ」
...蒼黒く濁つた海は果敢ない空の明るみを波の背に映しながら...
「修道院の秋」
...果敢ない運命への叛逆や...
萩原朔太郎 「宿命」
...主觀の果敢ない幻覺にすぎない...
萩原朔太郎 「宿命」
...殿が憎くしみに逢(あ)ふべきほどの果敢なき運を持ちて...
樋口一葉 「軒もる月」
...そゞろ人生の果敢なさを思ひ...
牧野信一 「蝉」
...果敢ならしめねばならぬ...
三木清 「危機における理論的意識」
...ついに果敢ない最期を遂げた以来...
モウリス・ルブラン 新青年編輯局訳 「水晶の栓」
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