...出來ない相談を持掛ける心持は「痴」の一字で盡されてゐる程果敢ないものに違ひない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...砂上の足跡のやうに果敢なく消えて了ふ...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...突然果敢なる命令を下した...
海野十三 「十八時の音楽浴」
...しかも勇猛果敢な探偵ぶりを見せた青年探偵帆村荘六も...
海野十三 「蠅男」
...自分が一生に一番美しかったあの夜の光景(ありさま)を思い浮かべて果敢ない追憶に耽けることもある...
――モウパンサン―― 辻潤訳 「頸飾り」
...そこでは虚栄に満ちた人が自分の小さな果敢ない権勢をたのんで...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...彼に取つては果敢ない生活の振蕩にすぎなかつた...
徳田秋聲 「老苦」
...歴史を信ずるというか、人類の歴史をよくしなければならないことに、全身を賭ける魂、その清らかな魂、強い魂の、果敢な態度が、その底に大きく深く横たわっている...
中井正一 「美学入門」
...しかし私はここに不衛生なる裏町に住んでいる果敢ない人たちが今なお迷信と煎薬(せんじぐすり)とにその生命(せいめい)を托しこの世を夢と簡単にあきらめをつけている事を思えば...
永井荷風 「日和下駄」
...私の心に時々浮かんでくる想像――一生の終りに臨んで必ず感じるであらう・自分の一生の時の短かさ果敢なさの感じ(本當に肉體的な...
中島敦 「かめれおん日記」
...僕は何となく果敢ない可愛想な感じがした...
長塚節 「開業醫」
...實際病院を出た當時十分彼の一身に落付が出來て再び僕に遇ふことも無いといふやうになつたであらうならば僕は果敢ない心持がしたであらうと思ふ...
長塚節 「開業醫」
...それにも拘らず私はおいよさんに対して前後に此の時程果敢ない思をしたことがない...
長塚節 「隣室の客」
...皆(みんな)の奧底にある果敢ない氣持を起させたことだらうと思ひます...
南部修太郎 「S中尉の話」
...俄然戦時体制に入ったような凛烈果敢な風貌になった...
久生十蘭 「魔都」
...果敢なる楊家の女も遂には汚泥の溝に落ち...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...何事か胸のうちに閃いたらしい果敢な意志を示すのであつた...
牧野信一 「沼辺より」
...果敢な死をとげた...
吉川英治 「三国志」
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