...父の仕事場にしてある店先の板間に...
石川啄木 「二筋の血」
...風呂屋に行った時着物を脱ぐ拍子にそれを板間にばら蒔(ま)いて黒い皮膚をした大きな裸の同君がそれを掻き集めた様(さま)などがまだ目に残っている...
高浜虚子 「子規居士と余」
...照ちやんは蒲團でくるんだ赤ン坊を更にねんねこで負つて表の井戸の水も酌むし板間の雜巾がけもした...
高濱虚子 「續俳諧師」
...夜毎(ごと)の嵐に破れ寂びたる板間(いたま)より...
高山樗牛 「瀧口入道」
...幾は台所の板間に片手を突き...
田畑修一郎 「鳥羽家の子供」
...花瓶台の上の花瓶が板間にころがり落ちたのが不思議に砕けないでちゃんとしていた...
寺田寅彦 「震災日記より」
...板間(いたま)ではあるが無論靴で出入(でいり)をする...
夏目漱石 「満韓ところどころ」
...湯槽(ゆぶね)の方はこれぐらいにして板間(いたま)を見渡すと...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...破屋(わらや)の板間の犬の臥床((ふしど))も...
樋口一葉 「琴の音」
...そこの板間で五時間坐らされたつけ...
北條民雄 「月日」
...蔵前の板間を打ち払つて飾りたてたのである...
牧野信一 「熱い風」
......
松本たかし 「松本たかし句集」
...下の板間に敷いた紙にサラサラサラサラ音を立てながら素早い手付きで髪を梳いて居る姿...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...山の端に入るまで月をながめ見ん閨(ねや)の板間もしるしありやとこんな返しを伝えさせている時...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...そこの板間へ坐りこんだ...
山本周五郎 「思い違い物語」
...踊のひときりがまだついてゐなかつたので三人は光つた広い板間の控へに坐つて次のを待つた...
横光利一 「父」
...玄関の板間(いたのま)に晨は伏目(ふしめ)に首を振りながら微笑(ほゝゑ)んで立つて居た...
與謝野晶子 「帰つてから」
...薄暗い楽屋の板間で突然アルマンの手に縋(すが)る男がある...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
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