...いまだ純然たる色摺板物(いろずりはんもの)の名称を下(くだ)し得べきものにては非(あら)ざりき...
永井荷風 「江戸芸術論」
...狂歌の流行はここに摺物(すりもの)と称する佳麗なる板物(はんもの)並に狂歌集絵本類の板刻(はんこく)を盛んならしむるに及びて...
永井荷風 「江戸芸術論」
...一勇斎国芳(いちゆうさいくによし)の板物(はんもの)を一覧して筆を擱(お)かんとす...
永井荷風 「江戸芸術論」
...北寿の板物は今日(こんにち)伝ふる処のもの僅に三...
永井荷風 「江戸芸術論」
...北寿の板物を見るものはまた彼が好んで雲を描くがために必(かならず)その画面には空と水との大(だい)なる空間を設けたる事を知るべし...
永井荷風 「江戸芸術論」
...余が北寿を以て浮世絵専業の人にはあらざるべしとの疑ひを抱(いだ)きしはその板物中かつて一の美人風俗画を見ず...
永井荷風 「江戸芸術論」
...その中(うち)左の一節の如きは最も簡単にまた最も巧(たくみ)に歌麿板物(はんもの)の色彩を形容し得たるものといふべし...
永井荷風 「江戸芸術論」
...巴里ルーヴル美術館の東洋部には蒐集品多からずといへどもなほ浮世絵板物を閑却せず...
永井荷風 「江戸芸術論」
...英国にありては千八百八十八年(明治二十一年)Burlington Fine Arts Club(バアリングトン美術倶楽部)において浮世絵板物展覧会の挙ありしより同好者の団体組織せられぬ...
永井荷風 「江戸芸術論」
...浮世絵板物には幸(さいわい)にも大抵画工の署名あればフェノロサはこれによりて画工の生死年次を参考としたるは勿論たるべしといへども...
永井荷風 「江戸芸術論」
...吾人は各画家の板物一枚々々につきてこれを絵本に描かれたる人物の流行及び風俗の変化に徴し得べきが故に...
永井荷風 「江戸芸術論」
...惜哉(おしいかな)その計画せし日本の絵画及浮世絵板物に関する完全なる一大美術史は脱稿せられずして止みしといへども前述したる紐育展覧会目録の外(ほか)に千八百九十八年(明治三十一年)東京に開かれたる展覧会の目録あり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...豊春の浮絵は政信清満の板物(はんもの)ほど大判ならざれどその着色は家屋の木材を描くに濃き代赭(たいしゃ)を用ひこれに橙黄色(とうおうしょく)と緑色とを配したる処また別種の趣あり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...絵本は簡単なる印刷出板物(しゅっぱんぶつ)となりぬ...
永井荷風 「江戸芸術論」
...国芳の描ける活気ある風景画の或物(あるもの)はけだしこの種類(ジャンル)中の逸品たると共にまた浮世絵板物(はんもの)を通じてその最も偉大なるものたり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...ないし縁のありそうな出板物が...
森鴎外 「沈黙の塔」
...この時禁止せられた出板物の中に...
森鴎外 「沈黙の塔」
...自然主義の側で禁止せられる出板物の範囲が次第に広がって来て...
森鴎外 「沈黙の塔」
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