...・さんざふる夜の蠅でつるみます・たゞ一本の寒菊はみほとけに・山茶花さいてお留守の水をもらうてもどる・誰かきさうな空からこぼれる枇杷の花・しぐれたりてりだしたりこゝそこ茶の花ちつて・冬蠅とゐて水もとぼしいくらし改作二句この柿の木が庵らしくするあるじとしてこゝにかうしてみほとけのかげわたしのかげ(晩課諷経)十一月廿六日徹夜...
種田山頭火 「其中日記」
...・こゝに枯れたるこの木の冬となる(庵の枇杷樹)・大根漬けてから長い手紙を書く・ひなたはあたゝかくやがて死ぬる虫いつとなく草枯れて家が建ち子が泣いてゐるお寺の鐘が鳴りだしました蔦紅葉病めるからだをあるかせてゐるよ草の実よ虫なくや咳がやまないなんだか人なつかしい草はみのつてゐるみちあまりひつそりして死相など考へては十一月十一日のどかな晴れ...
種田山頭火 「其中日記」
...同じく昔の郷里の夏の情趣と結びついている思い出の売り声の中でも枇杷葉湯(びわようとう)売りのそれなどは...
寺田寅彦 「物売りの声」
...夏になると、枇杷も熟する...
外村繁 「澪標」
...枇杷の芽は梅よりも伸びるのが早く...
永井荷風 「枇杷の花」
...枇杷の実はわたくしが始めて心づいたその翌日(あくるひ)には...
永井荷風 「枇杷の花」
...併(しか)したまたまわが陋屋(ろうおく)の庭に枇杷の核(み)の生育して巨木となったのを目前に見る時...
永井荷風 「枇杷の花」
...枇杷島橋(びわじまばし)にさしかかる...
中里介山 「大菩薩峠」
...つまり先刻道庵先生がファッショイ共を相手に一代の武勇をふるった枇杷島橋の方面からです...
中里介山 「大菩薩峠」
......
長塚節 「長塚節歌集 中」
...うっそうと葉を垂れた枇杷(びわ)の木のそばにあるのです...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...それ故に直接塩(しお)をふくんだ潮風を受けるために多少の風害はあるとしても、農民達は撓(たゆ)まざる努力に依って、年々、大根、芋(いも)、葱(ねぎ)などの野菜類はもとより、無花果(いちじく)、枇杷(びわ)、梨(なし)、西瓜などの果物類も豊富にとれるようになったのである...
火野葦平 「糞尿譚」
...ここの景色は枇杷の木に奪はれてしまふわけになる...
正岡子規 「病牀六尺」
...題は「放螢」、「摘枇杷」で、阿部正寧(まさやす)の賜ふ所であらう...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...その森を越えた二人は無言のまま、直ぐ鼻の先の小高い赤土山の上にコンモリと繁った深良屋敷の杉の樹と、梅と、枇杷(びわ)と、橙(だいだい)と梨の木立に囲まれている白い土蔵の裏手に来た...
夢野久作 「巡査辞職」
...たとへば、銀座どほりの往き來の女の影を眼でひろつて、假に果物皿に乘せてみるとすれば、それは枇杷か、メロンか、アレキサンドリヤか、水蜜桃か、梨か、クルミか、黄色リンゴか、どの女も何かしらの果物と似かよつてゐる...
吉川英治 「折々の記」
...枇杷(びわ)の木剣が...
吉川英治 「宮本武蔵」
...土肥では先づ枇杷羊羹でせう...
若山牧水 「樹木とその葉」
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