...」「あの爺さん」は僕等の隣(となり)に両手に赤葡萄酒(あかぶどうしゅ)の杯(さかずき)を暖め...
芥川龍之介 「彼 第二」
...」ホームズは一杯のクラレットと何枚かのビスケットで英気を養いつつ...
東健而訳 大久保ゆう改訳 「瀕死の探偵」
...母は憐愍(あはれみ)の色と悲哀(かなしみ)の影を眼一杯に湛へて...
石川啄木 「刑余の叔父」
...どれもこれも一杯だった...
海野十三 「暗号数字」
...そして胸の中はうれしさで一杯になった...
海野十三 「英本土上陸戦の前夜」
...やうやく米一杯半と句四つ戴いた...
種田山頭火 「行乞記」
...半月ぶりだつた! 途上の一杯二杯がたのしかつた...
種田山頭火 「其中日記」
...暑くも寒くもない初秋の太陽の光を一杯浴びているのが...
近松秋江 「狂乱」
...驟雨(しうう)は後(あと)から後(あと)からと驅(か)つて來(く)るので曉(あかつき)の白(しら)まぬうちから麥(むぎ)を搗(つ)いて庭(には)一杯(ぱい)に筵(むしろ)を干(ほし)た百姓(ひやくしやう)をどうかすると五月蠅(うるさ)く苛(いぢ)めた...
長塚節 「土」
...まだ朝飯が濟んだばかりなんだ、いきなりそんな汚ねえ話なんかしやがつて」平次は妻楊枝(つまやうじ)ををポイと捨てて、熱い番茶を一杯、やけにガブリとやります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...雛(ひな)が一杯蠢(うごめ)いていた...
原民喜 「廃墟から」
...彼にすることは杯や皿の外側(そとがは)に止まり...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...苗床と苗床との間を一杯にコスモスがひろがって居るから入って見る事も出来ない...
宮本百合子 「後庭」
...九月から頼んで十一月一杯というのが今日もう三日でしょう...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...Wの上に冠のある印の附いた杯(さかづき)の縁まで上げて一度ちいんと叩いた...
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 森林太郎訳 「祭日」
...これを一杯献じましょう...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...雅楽頭なんぞ待たせておきなさい」七十郎はまた二杯飲んだ...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...百官は逃げ腰に閉会の乾杯を強(し)いてあげた...
吉川英治 「三国志」
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