...水に浸(ひた)せし椎茸(しひたけ)を大籠(おほかご)に一杯見せたれば...
芥川龍之介 「雑筆」
...そして其処に一杯になつた時に...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...と其の扉口に眼には一杯涙をためて...
伊藤野枝 「監獄挿話 面会人控所」
...なまじ幻滅の苦杯を嘗(な)めさせられるより...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...彼は二杯のコーヒーと一皿の菓子と夕飯を食べた...
富ノ沢麟太郎 「あめんちあ」
...六十二年の老酒の杯を挙げ...
豊島与志雄 「上海の渋面」
...縁側は固(もと)より棟一杯細長く續いてゐる...
夏目漱石 「變な音」
...さながらスクリーン一杯の恋であり...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...一杯つけて骨休めをするがいい」「なアに...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...兄のような顔をして我儘(わがまま)一杯に振舞ったことは...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...そのすこしさきの町角に杯口屋(ちょこや)のおくんちゃんの家がある...
長谷川時雨 「源泉小学校」
...元気一杯な朗らかな学生や若い務め人で満員だつた...
牧野信一 「女に臆病な男」
...それを読まずに来月一杯は暮そうと思うから...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...まあ這入つて一杯呑んでから...
カミイユ・ルモンニエエ Camille Lemonnier 森林太郎訳 「聖ニコラウスの夜」
...洋杯を置いてすぐ話に戻った...
山本周五郎 「新潮記」
...まあ珈琲を一杯飲み給え...
夢野久作 「焦点を合せる」
...まちごうて、三日のうちに出来なかったら、わしが腹を切ればすむ……」と、最も苦りきっている棟梁の一人へ、杯を取らせて、藤吉郎は自分で銚子から注(つ)いでやりながら、「――まあ、心配といえばだなあ……この度の御普請の一事でもないし、もとより、この藤吉郎の一命などでもない...
吉川英治 「新書太閤記」
...お役署御用で、夜明かしでもなすったんで」「なあに、友達の家で少し飲み過ぎてね、つい家へ帰りそびれたのさ」「酔いざましには、二陳湯(ちんとう)などいいもンでございますが」「そうだ、一杯もらおう...
吉川英治 「新・水滸伝」
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