...敬坊なか/\戻つて来ない、二人でぢり/\する、二人だけで物足りない夕飯を食べて、敬坊の家の方へ散歩する、樹明君は敬君徃訪、私は帰庵、水を汲んだり汚れ物を洗つたりしてゐると、果して敬坊来車、酒を持つて、間もなく樹明も来車、茹鮹を下げて...
種田山頭火 「行乞記」
...やがて半月あまりを経たりしに突然福地家の執事榎本破笠(えのもとはりゅう)子より予(かね)て先生への御用談一応小生より承(うけたまわ)り置(おく)べしとの事につき御来車ありたしとの書面に接し即刻番地を目当に同じく木挽町の河岸通なる破笠子が寓居に赴きぬ...
永井荷風 「書かでもの記」
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